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会社内や協力会社との連絡手段として、すっかり定着した感のあるビジネスチャットですが、メリットばかりが強調され、デメリットもあることは見過ごされていないでしょうか。

ビジネスチャットを利用することのメリットには、
「メールよりも気軽な連絡手段なので、コミュニケーションが活性化すること」
「会話のように使えるのでレスポンスが早くなること」
「メンバー全員で同じ話題について話しやすいこと」などがあげられます。

正しく利用すれば、情報共有がスムーズになされ業務の効率化が図れるビジネスチャットですが、便利な半面、気をつけなければならない落とし穴もあります。6つのデメリットについて、詳しく解説します。

無駄なコミュニケーションが増える

ビジネスチャットのメリットとしてあげられる「コミュニケーションの活性化」は、個人の思いつきやアイデアがチームに共有され、プロジェクトへと育っていく良い循環を生んでくれます。

しかし、どんな話題でも無差別にチャットに上げればよいというものではありません。いつしか話が脱線してプライベートな話が続いてしまったり、手元の資料で確認すればよいことをメンバーに気軽に問い合わせたりと、無駄なやりとりが増えてしまう危険性もあるのです。

チャットを受けた人は、相づちや回答に時間をとられ、自分の作業の手を止める度に集中力が途切れ、作業効率が下がってしまうことでしょう。

このような事態に対する施策としては、チャットでの個人間のやりとりは禁止し、必ず上役がグループ内にいる状態でチャットを始めることが有効です。チャットもメール同様、相手に回答の負担をかけてしまうことがあることを忘れずに、相手の都合や状況を想像して、本当に今送るべきなのか、自問することが大切です。

ツールの使い方を教育しなければならない

新たにビジネスチャットの導入を検討しているなら、「システムを導入すればみんなが使えて便利になる」という楽観的な考えを持つことは危険です。新しいITツールに対するセンスやスキルは社員全員が均一に持っているものではありません。

システムに柔軟に対応できる若い社員だけがどんどん利用し、「新しいものはどうも……」と気後れしてしまう人は従来通り電話で連絡をとる、という状態になってしまえば社員間での情報格差が生まれてしまうでしょう。社員全員が積極的に利用しなければ、新システム導入にかけたコストに見合うメリットも感じにくくなります。

新システムは「導入すれば終わり」ではなく、社員全員が等しく使いこなせるようになるまで、適宜、研修などを受けてもらう必要があります。

また、新しいものを取り入れるときには「なぜ導入するのか」「どういった効果が望めるのか」といった経営陣の考え方をしっかりと社員に伝えていきましょう。新システムの意義を理解してもらえれば、ツールの使い方を積極的に学び使っていこうという雰囲気が作られます。

対面でのコミュニケーションが減少する

ビジネスチャットはプロジェクトやテーマに合わせてグループを作り、メンバー間で話し合いを重ねることができます。所属や地域性に縛られずにメンバーを選出することができるのは、シナジー効果が期待できる大きなメリットですが、気がつけば顔も知らないもの同士がメンバーになっているということもあります。

人のコミュニケーションにおける情報伝達力は、言語と非言語で1:9の割合だとされる「メラビアンの法則」をご存じでしょうか。非言語とは「言葉・文字情報」以外のもので、例えば声のトーンや表情、視線、身ぶりなどが相当し、これらが非常に重要な役割と持っているとする考え方です。

チャットには非言語情報が一切ないので、チャット上の文字だけで情報を正確にやりとりするには限界があります。文字情報だけに頼ってしまうと、細かなニュアンスが伝わりにくいので誤解が生じやすく、のちのち大きなトラブルにも発展しかねません。

キックオフ会などを設けたり、定期的にライブカメラで顔を合わせたりという対面コミュニケーションの機会を増やせば、誤解やトラブルを回避できるでしょう。

履歴が多くて情報量がパンクする

ビジネスチャットでの情報は、基本的に時系列に沿って記録が残ります。過去の発言にさかのぼって情報を確認することや、メンバー全員の合意を得たという発言を一度に見渡したいというようなケースでは、チャットのトーク機能だけでは不十分だと感じるでしょう。

メンバーの1人が不在の間にチャットが進んだときにも、テーマに対する各人の回答や会話の温度感を知るには適していますが、履歴が多くなるほどに会話を追い切れないようになり、「結論は何なのか」「誰が何を担当することに決まったのか」といった情報を整理するのに時間がかかってしまいます。

ビジネスチャットでの重要な会話は、議事録としてエクスポートしておいたり、決定事項を整理して別の形で保管しておいたりすることをおすすめします。ビジネスチャットとの連携ができるクラウド型のITツールやタスク管理ツールが便利でしょう。

既存のツールとの競合が問題になる

現在、社内ではどのように連絡をとりあっているのでしょうか。メールや電話が主体なら、ビジネスチャットを導入することで得られるメリットは大きいでしょう。しかし、すでに営業支援ツールやタスク管理ツールを利用している場合は、プロジェクトごとの連絡などはツール上で十分になされているのではないでしょうか。

複数のツールを使用することは、一見便利なようで、アプリケーションを立ち上げる時間やそれぞれの通知を確認する必要性、情報が分散してしまうリスクなど、デメリットも増えてしまいます。ビジネスチャットは、既存のツールとの連携しやすさを確認し、使い分けのルールなどを明確に定義してから運用しましょう。

端的に考えれば、Eメールもビジネスチャットとの競合ツールといえます。社外への連絡や緊急性の低い連絡はEメール、社内連絡や即日に返答が必要な場合にはビジネスチャットを使用するなど、自社の業務内容に合わせた使い分けのルールを徹底しておくことが大切です。

ツールの中には有料のものが含まれている

ビジネスチャットは無料で始められるものから、多機能で1ユーザーごとに料金の発生するものまでさまざまなものが流通しています。無料だからと気軽に始めたとしても、機能を追加する必要に迫られ、有料プランへ移行せざるを得なくなるというケースも考えられます。

ビジネスチャットの導入当初から、自社に必要な機能と利用人数を想定し、コストを算定しておきましょう。もちろん、チャットの機能によって業務の効率化や情報共有が徹底されるなら、有料プランを契約する意義はあるでしょう。

大切なのは費用対効果を最大限に得られるよう、「コストをかけているのに使っていない機能がある」「利用人数が増えたことで負担が増大した」「格安だがファイル容量に制約があり不便」といった思わぬ事態を防ぐことです。

以下にビジネスチャットの無料版では制限があったり、有料版にのみ装備されていたりすることの多い機能をまとめました。自社での必要性や既存ツールとの相性を考慮して、どのレベルのチャットを導入するか検討していきましょう。

・グループチャット機能・グループ数の制限
・プッシュ通知機能
・デバイス拡張機能
・チャットトークの検索機能・履歴数の制限
・ファイル添付の種別・容量制限
・セキュリティの強度
・クラウド上のストレージ容量 など

まとめ

ITツール全般にいえることですが、「はやっているから」「競合他社でも使っているようだから」といった理由で新たなツールを導入しても、自社の気風や文化に合っていなければ、活用されることはないでしょう。

ビジネスチャットも、目覚ましい勢いで普及しているツールではありますが、実際には9割近い職場で活用されていないというアンケート結果もあります。
(出典:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd144220.html

ビジネスチャットは、正しく運用すれば社員間のコミュニケーションツールとして大変有意なものです。ご紹介した6つのデメリットを理解したうえで、「どういった効果が望めるのか」というメリットと比較して導入を検討しましょう。