簡単にわかるランチェスター戦略。 使うメリットとデメリットも解説
ランチェスター戦略とは?
ランチェスター戦略について詳しく知りたい
本記事をご覧になっている方は、ランチェスター戦略を知り、自社の営業活動に活かしたいと考えていらっしゃるのではないでしょうか。
結論、ランチェスター戦略は、マーケティングや営業活動に欠かせない市場戦略の基本的な考え方です。
本記事では、ランチェスター戦略について詳しく解説します。
ランチェスター戦略を把握すれば、より効率的に自社の営業活動を進められるでしょう。
なお、営業活動に課題を抱えている場合「Sales Platform」をご検討ください。
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ランチェスター戦略とは勝つためのビジネス戦略
ランチェスター戦略とは1970年代に体系立てられた、日本発祥の販売戦略です。
「いかにして物を売るか」「他社よりも抜きんでるにはどうすれば良いか」という考え方に基づいています。
特に小規模企業やシェアが低い企業が、市場で有利に立つための戦略として知られています。
ランチェスター戦略には2種類あり、劣勢な企業が競争に勝つための「弱者の戦略」と、市場でトップシェアを維持するための「強者の戦略」です。
弱者の戦略では、トップ企業のシェアが及んでいないニッチな客層や地域を選定し、顧客との信頼関係を強固に結んでいくという差別化戦略をとります。
強者の戦略では、豊富な物量を確保して全国的なマスマーケットへ展開し、コマーシャルなどのイメージ戦略で顧客との接触を増やすという戦略をとります。
ランチェスター戦略のメリット・デメリット
現在有効とされているマーケティング理論は欧米発のものが多いですが、ランチェスター戦略は日本で体系立てられた理論です。
市場シェアに対する具体的な数値と行動目標や顧客に対する戦略など、営業活動のあらゆるシーンに応用できます。
ランチェスター戦略を取り入れたときのメリットとデメリットについて解説します。
メリット
ランチェスター戦略のメリットは、小規模企業やシェアの低い企業でも、限られたリソースを効率的に活用できる点です。
特定のニッチ市場や競合の弱点に焦点を絞り、大手企業と正面から戦わずに、局地的な優位性を築けます。
全方位に展開するのではなく、限られた分野に集中するため、市場や競合の変化に迅速に対応でき、柔軟な戦略変更も可能です。
また、ターゲット市場を絞り込むと、営業やマーケティング活動の効果が最大化されるため、顧客のニーズを深く理解し、満足度の向上にもつながります。
特に競争が激しい市場や、限られたリソースで戦わなければならない企業にとって、効果的な戦略です。
デメリット
ランチェスター戦略を取り入れることのデメリットや欠点はほとんどありません。
しかし、市場分析の段階で、弱者と強者の立場を間違えないことが大切です。
自社の分析はつい甘くなってしまうものですが、弱者が「強者の法則」をとっても成果は上げられません。
市場シェアの分母をどう設定するかなどで迷ったら「弱者の法則」を選択すれば、まず間違いはありません。
仮に強者が「弱者の法則」をとったとしても、一定の効果は期待できます。
また、マーケティングと経営戦略の原理原則のように語られるランチェスター戦略ですが、この1本だけで必ず成果を上げられるというものではありません。
特にIT分野では検証の余地があるとされ、ネットショップの普及により地域差がなくなりつつありますが、ニッチな客層・ニーズの掘り起こしは容易になったとも考えられます。
ネットにはネットの営業戦略が必要でしょう。
ランチェスター戦略の事例細分化
ランチェスター戦略は日本独自の地域戦略や流通戦略と親和性が高く、現在までに大手・中小を問わず、さまざまな企業で実践され、その効果が実証されてきました。
一部をご紹介します。
下着メーカーの差別化戦略
ドイツでのシェア1位を達成していたトリンプは1964年に日本法人を設立し、1946年創業で日本の婦人下着売上トップに君臨していたワコールに対して、弱者の法則をとりました。
1990年代、当時としてはユニークなネーミングとCMで「天使のブラ」「恋するブラ」などの新商品を次々にヒットさせ「アモスタイル」という若年向けブランドの設立に至ります。
百貨店への出店で高級路線として知名度が高かった強者との「差別化」を図り、若年層に受け入れられたのが事業拡大の要因です。
企業としてのイメージ戦略にも長けていて「ノー残業デー」「がんばるタイム」「さん呼び運動」などの取り組みがたびたびメディアに取り上げられ、広告費を掛けずとも大幅なプロモーション効果が得られました。
また、顧客との距離を縮める「接近戦」戦略として「トリンプフィッティング」といわれる専門知識を磨いたアドバイザーが全国の店舗に派遣されていて、顧客との1対1のシーンで質的な強みを発揮しています。
コンビニチェーンの地域集中出店
日本のコンビニ店舗数ランキングで1位を独走するセブンイレブンは絶対的な強者に見えますが、1990年代の関西圏に限ってみれば、ローソンに後れをとる弱者の立場にありました。
ここでセブンイレブンは弱者の法則「一点集中主義=ドミナント戦略」をとります。
資本を集中させ、関西圏の商業の中心である大阪に出店攻勢をかけたのです。
地域の独占率を高めることは、配送効率や地域ごとの宣伝商材における費用対効果を上げることができます。
また、そこを生活圏とする人々の認知度が上がり、やがて「コンビニといえばローソン」という固定概念をも崩していきます。
激安カット店のターゲット
現在では1000円の価格設定がある美容院も珍しくありませんが、激安カットの市場を開拓し、全国展開するほどの大成功を収めたのが、キュービーネット(株)が運営するQB HOUSEです。
QB HOUSEは徹底的に無駄を省いたオペレーションシステムで「散髪10分1000円」という短時間での接客と低価格を実現させました。
また、業界組合に加盟しないことで、定休日の廃止、営業時間の延長といった規制に縛られない新しい店舗作りをしていきます。
いつでも行ける手軽さと時短効果で、忙しいサラリーマンや散髪にそれほどお金を掛けられないという学生を中心に客足を伸ばしていきました。
QB HOUSEは従来の理美容院のユーザーからターゲットを絞り、リピーターを獲得したので、2019年に1200円へ値上げした際にも客離れは起きませんでした。
海外展開や女性客・シニア層の取り込みを目指し、さらなる拡大戦略をとり続けています。
まとめ
ランチェスター戦略はマーケティング部門や経営企画部のための理論で、一介の営業マンには関係ないと感じる人もいるでしょう。
しかし、ランチェスター戦略の原則を知っておくと「今度の戦略は弱者の法則だな」「これは接近戦で競合との差別化を図っていくということだな」と営業活動への理解が深まります。
とはいえ、勝つためのビジネス戦略であるランチェスター戦略を知っていても、自社リソースが不足していると、実践に落とし込めません。
限られたリソースで効果的な営業活動を進めるには「Sales Platform」がおすすめです。
Sales Platformは、営業戦略の立案から実行までを一貫してサポートしてくれる心強いサービスです。
営業活動に課題を抱えている方は、検討すると良いでしょう。
ランチェスター戦略に関するよくある質問
Q.ランチェスター戦略は、どのような実務に取り入れられますか?
A.営業戦略以外に挙げられるのは、以下の実務です。
・地域戦略
・流通戦略
・市場参入戦略
地域戦略では特定の地域でのナンバーワン、流通戦略ではシェア拡大を目指すために使われます。
市場参入戦略では、商品や新規事業開発にあたって、市場参入への準備を整えるために取り入れられています。
Q.ランチェスター戦略で、トップに立つための目標のシェア率はどのくらいですか?
A.市場シェア41.7%以上であれば、圧倒的に有利な立場をとれるとしています。
上限の目標値は73.9%、下限は26.1%が目安です。
下限を下回る場合は、トップでも安定性に欠けるといわれています。