コーポレート・トランスフォーメーションとは?成功させるポイントを解説

コーポレート・トランスフォーメーションを考える

変化の激しい時代を生き残るには企業の変革も必要

バブル絶頂期、日本企業は世界でもトップクラスでした。1989年の「世界時価総額ランキング」では、上位を日本企業が占めています。しかしバブル崩壊後は失速・低迷。日本企業は世界企業に後れをとり、今や危機的状況です。

時代の変化に適応できず、姿を消していく企業もたくさんあります。この激動の時代に生き残っていくためにはどうすればよいのでしょうか。そこで注目されているのが「コーポレート・トランスフォーメーション(CX)」です。

しかし聞きなれないこの言葉。実際にどのようなメリットがあるか疑問に思う経営者の方も多くいるのではないでしょうか。今回はコーポレート・トランスフォーメーションを詳しく解説します。

成功するためのポイントも解説するので、危機を乗り越えるための策を探している経営者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

コーポレート・トランスフォーメーションとは?

コーポレート・トランスフォーメーション(CX)とは、企業の根幹からの変革を意味します。例えばDVDプレーヤーやウォークマンは、かつて多くの人が所有しており、企業もこぞって機器を発売していました。しかし今はどんなに良い機能を搭載しても、昔ほど売れません。なぜならNetflixやAmazon Primeなどのサブスクリプションサービスが登場したからです。

時代は常に変化しています。どんなに素晴らしい商品でも、時代に合わせたものでなければ生き残ることはできないでしょう。現代のビジネスを理解し、根本の考え方を変える必要があります。この言葉は、2020年6月に経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEOの冨山和彦氏が本を出版し、広く知られることとなりました。

コーポレート・トランスフォーメーションが必要な理由

年功序列、終身雇用といった日本的な経営モデル、いわゆる「カイシャモデル」は崩壊しつつあります。バブル以降、低迷を続けてきた日本企業は、2020年にとどめともいえるコロナショックに直面しました。これにより今までの経営モデルは、経済危機に対応できないと冨山和彦氏は指摘しています。つまりコーポレート・トランスフォーメーションが今の日本企業には必要です。

またコーポレート・トランスフォーメーションを語る上で欠かせないのが、デジタルトランスフォーメーション(DX)です。これはデジタル技術を進化し、浸透させることで生活をより良いものに変えるという概念のことです。今後はこのデジタルトランスフォーメーションもさらに進んでいくでしょう。つまり今後も経営を続けていくならば、企業も進化に合わせた変革が求められます。

コーポレート・トランスフォーメーションによって得られるメリット

コーポレート・トランスフォーメーションによって得られるメリット

多くの企業が経営危機に瀕している日本。しかしチャンスと捉えることもできます。ではコーポレート・トランスフォーメーションを取り入れることによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは3つメリットを具体的に解説します。

  • 事業の生産性を高められる
  • 能力が高い人で活躍できる機会を作れる
  • 従業員のストレス軽減に繋がる

事業の生産性を高められる

これまでの事業方法を見直すことで、より生産性を高められるチャンスです。例えばこれまでは、職場に通勤して業務を行うことが当たり前でした。しかし現代では自宅で仕事ができるテレワークが普及しています。Zoomなどのデジタルツールも発達しており、自宅にいながら会議や資料の共有も簡単にできるようになりました。

データも紙媒体ではなく電子化してしまえば、どこでも閲覧できるようになりますし、紙代や印紙代もかかりません。印鑑も今は電子化できます。ルーティンなどもITツールに任せれば人件費削減できるでしょう。

無駄な業務や環境の見直しをすることで、より生産性の高い仕事に資源を集中できます。しかしパソコンなどのITは苦手だからと便利なツールを導入せずにいれば、ますます時代に後れをとるでしょう。

能力が高い人が活躍できる機会を作れる

能力が高い人の流出を防ぎ、活躍できる機会をつくるチャンスでもあります。現代では、働かない中高年世代をどう生かすかを課題としている企業が多くあります。しかし働く側も業績悪化による給料低下などで、モチベーションが上がらず不満が溜まっているようです。

それをみた若い優秀な人材が企業に未来を感じなくなり、辞めてしまう負のループもさまざまな企業で起こっています。これを改善するには経営者が企業全体を変革する必要があるでしょう。新しい部門の設立や働き方の見直しなど、組織変革により誰もが活躍できるチャンスをつくることも可能です。

従業員のストレス軽減につながる

コーポレート・トランスフォーメーションによって、従業員のストレスを軽減することも可能です。例えばこれまで多くの企業が9時出勤、17時半退社など、就業時間が決められていました。しかしそのような「みんな一緒」の考えを変える時期です。フレックスタイムやテレワークを取り入れることにより、従業員はライフスタイルに合わせて働けます。通勤や長時間労働によるストレスも減らせるでしょう。

負担を減らせれば、社員もモチベーションを保ちやすくなり、生産性の向上にも繋がります。優秀な人材の流出も防ぐことができるでしょう。

コーポレート・トランスフォーメーションで考えられるデメリット

コーポレート・トランスフォーメーションで考えられるデメリット

コーポレート・トランスフォーメーションは現代に必要だと言われていますが、メリットばかりではありません。企業がコーポレート・トランスフォーメーションを進めるにあたり、考えられるデメリットは、次の通りです。

  • 変革の手間や負担がかかる
  • 変革に不満を持つ人が出てくる
  • 業務負担が増える可能性がある

それぞれ具体的に解説します。メリットとデメリット両方を理解したうえで、適切に進めていきましょう。

変革の手間や負担がかかる

コーポレート・トランスフォーメーションは1日では完成しません。これまで当たり前だった企業のあり方を根本から変えるのですから、時間や手間がかかります。業務のやり方を大きく変えなければならなくなることもあるでしょう。最終的には運営コストが安くなるとしても、変革のため一時的に大きなコストが発生することもあります。変革の成果もすぐに出るとは限りません。

また経営者の思いつきで変えれば、現場との連携が上手くいかなくなることもあります。失敗すれば、逆に業務効率が大きく下がってしまうかもしれません。どのような手間やフローの変更が発生するのか、よく考えたうえで進めていく必要があります。つまり変革のためには経営者の視点だけではなく、現場の状況をよく理解することが大切です。

変革に不満を持つ人が出てくる

変革を進めると、不満を持つ人が出てくる可能性も理解しておかなければなりません。長年慣れた方法で業務を進めていれば、新しい方法がやりづらいと不満を持つ人もいるでしょう。自分のこれまでの立場が崩れるのを危惧し、変化しては困ると抵抗してくる人もいるかもしれません。

強引で一方的なコーポレート・トランスフォーメーションの進め方では、社員の反感を買うことにもなります。そうならないためにも、しっかりと変革の目的と得られるメリットについて説明することが大切です。将来的に大きなメリットになると感じてもらえれば、従業員たちの不満も減らせるでしょう。

業務負担が増える可能性がある

コーポレート・トランスフォーメーションが成功すれば、業務を効率化し従業員の負担を減らせるでしょう。生産性の高い仕事に集中でき、利益の拡大も期待できます。しかし失敗した場合、これまでよりもかえって業務量が増えたり、混乱をきたしたりする可能性もあります。

また生産性の高い仕事に集中できる環境になったことで、これまでよりも高い成果を出すことが求められるでしょう。従業員の立場や状況によっては、成果を出すことへのプレッシャーや負担が増えてしまうこともあるかもしれません。そのような従業員へのフォローも大切です。

コーポレート・トランスフォーメーションを成功させるポイント

コーポレート・トランスフォーメーションを成功させるポイント

これからの時代を生きていくために、企業変革は欠かせません。しかし思いつきや、がむしゃらで進めることは大きなリスクを伴います。失敗すればこれまで以上に従業員に負担をかけたり、経営難に陥ることもあるでしょう。そのようなことがないように、ここではコーポレート・トランスフォーメーションを成功させるポイントを3つ解説します。

  • コーポレート・トランスフォーメーションの必要性を周知する
  • 具体的なゴールやプランを共有する
  • PDCAサイクルを回しながら変革に取り組む

コーポレート・トランスフォーメーションを進めるうえで、参考にしてください。

コーポレート・トランスフォーメーションの必要性を周知する

コーポレート・トランスフォーメーションを進めるためには、まず必要性を周知する必要があります。なぜなら経営者層と現場の従業員では危機感が異なるからです。現場は時間通りに出勤し、言われたとおりに業務をこなしていればお給料がもらえます。自社の経営状況を常に把握しながら働いている人は、ほとんどいないでしょう。

そのため突然経営者層が「変革します」と伝えても、なぜ必要なのか理解できず抵抗感を感じてしまいます。変革方法を伝えて実施しようとしても、抵抗感があれば思うように進まないでしょう。つまり変革を進める前に自社の状況と危機感を共有することが大切です。そのうえで「みんなで乗り越えたいから協力してほしい」という思いを伝えることにより、スムーズに進みやすくなるでしょう。

具体的なゴールやプランを共有する

危機感を共有したら、次は具体的なプランやゴールを共有しましょう。いざ変革しようと思っても、経営者層のプランやゴールが曖昧だと現場側もどのように動いてよいのか分かりません。

目標や計画をわかりやすくシンプルな言葉で伝えることが成功のポイントです。つい伝えたい言葉を詰め込みすぎてしまうかもしれません。しかしあまり難しい言葉や長すぎる目標では、従業員たちに浸透しません。相手に覚えてもらえることを意識したシンプルな言葉にすることが大切です。

覚えやすいシンプルな言葉で伝えることで、従業員一丸となってコーポレート・トランスフォーメーションを進められるでしょう。

PDCAサイクルを回しながら変革に取り組む

PDCAという言葉を耳にしたことがある方も多いと思います。PDCAとは、次のサイクルを繰り返して業務の改善を行うことです。

  • Plan(計画)
  • Do(実行)
  • Check(確認)
  • Action(改善)

変革に正解はありません。時代により変わるので、この方法なら必ず成功するという経営モデルはないのです。つまり今日行った最善の方法が、明日には改悪となっている可能性も十分あります。つまり生き残るためには継続的な変革が必要ですし、そのためにはPDCAサイクルを回していくことが大切です。結果から得た学びは企業のノウハウや財産となります。

得た学びを次の戦略に活かすことで、コーポレート・トランスフォーメーションを成功に導けるでしょう。

まずは自社の現状把握から始めよう

まずは自社の現状把握から始めよう

コーポレート・トランスフォーメーションについて解説しました。日本企業の多くが現在、危機的状況となっており、これまでの経営モデルでは通じない時代となっています。そのためコーポレート・トランスフォーメーションが注目されていますが、いきなり取り組んでもうまくいきません。まずは自社の現状を分析し、課題をしっかり把握しましょう。

また経営層と現場では、危機的状況に温度差があります。変革の目的と必要性を伝えなければ不満や抵抗の原因となるでしょう。しっかりと共有することが成功のポイントです。コーポレート・トランスフォーメーションを進めるには時間と手間がかかります。面倒かもしれませんが、今後生き残るためには欠かせません。後悔のないよう、少しずつ計画的に進めていきましょう。

この記事を書いた人

DX支援メディア編集長
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大手の営業会社で1年以上働いた経験があるライターが、客観的な情報を踏まえた上で、BtoB営業に悩まれている方に寄り添ったコンテンツを発信していきます。

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