営業で言うDXとは?DXを推進させる手順やポイントを徹底解説

目次

売上を伸ばし続けるには時代の変化に合わせて事業革新するのが大切

営業活動するなかで、業務の変革が必要だと感じている方は多いのではないでしょうか。少子化による市場の縮小、テレワークの普及、営業人材の流動化などが要因となり、右肩上がりの売上を維持することが難しい時代です。

そのためこれまでのセオリーに頼らず、時代の変化に合わせた新しい営業スタイルの構築が求められています。そのなかで注目されているのが営業のDX化です。今回は営業のDX化の概念から手順、成功のポイントまでをトータルに解説します。

そもそもDXとは?

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略称です。本来の意味は、デジタル技術を駆使することで、人間の生活がより良い方向に変革すること。ビジネスにおいては、データやデジタル技術によって、サービスやビジネスモデルを変革することを指します。

ここでポイントになるのは、変革というワードです。従来のやり方のまま、ただ作業工程の一部をデジタル化することはDXとはいえません。デジタルの力でサービスやビジネスモデル、ひいては組織そのものに変革を起こして強化することが重要です。

DXに成功すれば、顧客に新たな価値を提供でき、企業としても変化の激しい市場で生き残る競争力を得られるでしょう。

営業でいうDXとは?

営業におけるDXとは、端的にいうとデジタル技術を活用した営業プロセスの最適化です。これまでの営業活動を顧客の購買行動のデータから見直し、デジタルツールを駆使した営業手法で、より効率的で効果的なプロセスに再構築します。

人海戦術や個々の営業パーソンのスキルによるところなど、従来の営業スタイルには課題があると現場で実感している方は多いのではないでしょうか。営業の現場をDX化することで、効率の悪さや属人的で成果が一定しないといった問題点が解消できます。

管理職世代には、現在も「足で稼ぐ」営業スタイルを信奉する人が多くいます。しかし新型コロナウイルスなどの影響で非対面の営業活動が余儀なくされる現在こそ、営業現場におけるDX化のチャンスといえるでしょう。

営業でDXを進めるメリット

営業部門でDXを進めるメリットを確認しておきましょう。各企業が営業部門でDXを進める主な理由は、営業活動の無駄を省き、より効率的に成果を上げるためです。デジタルツールを活用すれば、営業メンバーの移動時間や作業時間を大幅に短縮できます。

それ以外にもDX化のメリットとして、顧客データを分析してニーズが予測できる、非常時においても営業活動を止めずにすむ、などが挙げられます。ここではそれぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。

効率的に成果を出せるようになる

営業のDX化の目に見えるメリットは、効率的に成果を出せることです。なかでも大きな変化は、オンライン商談でしょう。移動が必要ないオンライン商談では、短時間でより多くの顧客にアプローチできます。

さらに顧客情報を管理するCRMツールや、営業支援のSFAツールを活用すれば、これまで個々の営業メンバーに任されていた営業戦略を、データ分析に基づいてチーム全体で展開することが可能になります。

またオンライン商談ツールやSFAツールがあれば、営業活動が可視化されることも大きなメリットです。先輩社員は同行せずとも、新入社員の商談にアドバイスができます。そして営業メンバーの日々の行動と成果がデータとして集約されることで、管理職は適切なマネジメントができるでしょう。

顧客ニーズを予測しやすくなる

営業をDX化すれば、顧客のニーズを的確に捉えて自社の新商品のアイデアに生かすことも可能です。顧客情報を全社で一元管理できるMAツールやCRMツールを導入すれば、自社の商品やサービスに興味のある顧客の購買行動を分析できます。その分析に基づいてニーズの予測をたてて商品開発にフィードバックすれば、より市場で求められている商品を生み出せるでしょう。

何よりも今後はあらゆる分野でデジタル技術が普及していき、それによって変化する顧客ニーズに応えるためには、各社DX化は避けられません。特に顧客と直接関わる営業部門でいち早くDXを取り入れることで、顧客の消費行動の変化に対応できるでしょう。

災害時でも事業を継続しやすくなる

DX化は非常時の対策としても有効です。対面型営業や紙ベースの商談では、震災やパンデミックの際に営業活動がストップしてしまう恐れがあります。しかしオンライン商談システムやチャットツールならスマホでも利用でき、非対面でも顧客との商談やデータのやり取りが可能です。

今後はさらに電子契約システムなども普及すると見られていて、災害後の経済活動を回復させるスピードは早まっていくでしょう。また顧客の購買体験を向上させるため、VRの導入も注目されています。こうした市場の動きを意識しておかないと、もしものときに自社だけが顧客との繋がりを断たれてしまうというリスクがあるのです。

営業でDXを推進させる手順・方法とは?

次に営業部門でDXを進めるための、手順や方法を見ていきましょう。DX化の計画を立てるときに注意したいのが、細部から決めてしまわないということです。とりあえず他社が使っているツールを導入してみるなど、全体のビジョンや方向性を定めずに具体的なシステムやツールを決定しないようにしましょう。

まずは現在どのようなデジタル技術があるのかを勉強し、そのあとに自社の改善すべきポイントに生かせるシステムやツールを選定していきます。そして実際に導入したあとも、効果の検証と改善を重ねていきましょう。ここでは3つの工程を具体的に解説します。

営業に活用できるテクノロジーやツールへの理解を深める

まずは現代のデジタル技術のなかで、営業部門で使えそうなシステムやツールにどのようなものがあるか調べてみましょう。それぞれの特性やメリットを勉強するうちに、自ずと自社の営業部門の課題と改善すべき点が見えてきます。

すでに多くの企業が営業部門のDX化に取り組んでおり、インターネットで調べれば成功事例や失敗事例も見ることができます。自社の企業規模や業種に近い企業の事例を参考にすれば、具体的なイメージを掴めるでしょう。

この時点では魅力的なツールがあっても、急いで導入してしまわないことが重要です。自社のDX推進のビジョンを固めるという、次のステップを待って行動に移します。

DX推進のためのビジョンを社内で共有する

次に自社でどのようにDX化を進めるかを決めていきます。さまざまなデジタル技術の効果を理解したところで、非効率な工程など自社の営業活動の弱点も見えてきたことでしょう。ここではどのツールを使用するかは一旦脇に置いて、営業部門全体をどう変革すべきかを考えます。

すでに述べたように、DXとはただのデジタル化ではなく業務や組織全体の変革です。従来の営業プロセスを一度解体し、目指す目標に対してより時代に合わせて最適化されたプロセスを再構築するよう心がけましょう。

理想的な営業プロセスがイメージできれば、それに対して必要なシステムやツールを選定していきます。スムーズな運用のためには、そうして完成した新しい営業スタイルをメンバー間でしっかり共有することが大切です。

取り組みの実施と評価・改善を繰り返す

営業プロセスの変革は、計画を立てれば終わりではありません。実行して効果を検証し、問題点があれば改善していく必要があります。

システムやツールも、実際に使用したら自社には適さなかったというケースは十分に起こり得ます。また例えば、同じCRMツールでもさまざまな商品が展開されているので、いくつかの商品を使用したうえで比較・評価することが有効です。

現代においては、市場もデジタル技術も絶えず激しい変化を続けています。動向をよく見極めて、常に自社のDXでも改善を繰り返していくという心構えが大切でしょう。

営業でDXを推進するポイント

最後に営業のDXを推進するときに押さえておくべきポイントをご紹介します。DX化では、実際にシステムやツールを導入する前にしっかりとした戦略を立てることが重要です。なぜDXが必要なのか、DX化によって営業部門全体をどう変えていきたいのかというビジョンを明確にしなくてはなりません。また顧客情報のデータは、DX化を契機として営業部門だけでなく全社で共有するようにしましょう。

すでに述べたように、DXとは単なるデジタル化ではなく業務・組織の変革です。より広い視点で取り組めるよう、ここでは3つのポイントを詳しく解説します。

目的やゴールを明確にする

まずは営業部門におけるDXのゴールを明確にして、社内でしっかり共有しましょう。DXの目的はただ作業の一部のデジタル化ではありません。デジタル技術を駆使して業務を最適化することで、より売上や顧客満足度を向上させることにあります。

そのため営業部門のDXのゴールは、できるだけ数値化するのが望ましいでしょう。売上の15%UP、新規顧客を50件獲得、商談数の月20件増など、メンバー全員がDX化によって達成するべき目標を常に意識するようにしましょう。目標やゴールがないと、ただ新しいツールやシステムを使えるようになったことで満足してしまう可能性があります。

営業業務全体の革新を意識する

DXの考え方として重要なポイントは、業務と組織の革新を意識することです。現在の営業プロセスに、使えそうなデジタル技術を当てはめていくのは間違いです。営業部門を新しく立ち上げるような心構えで、デジタル技術を念頭において業務のプロセスをゼロから組み立てていきます。

これまでの営業部門における業務をすべて棚卸しして、一つひとつを効率や顧客満足の面から見直していきましょう。長年当たり前に行ってきた業務でも、無駄あるいは時代にそぐわないと判断すれば、DX化を機に無くしてしまうことも大切です。

もちろん必要な業務はデジタルツールやシステムで効率化しながら残していきます。その際もフローや担当する人数など、これまでの慣習にとらわれず最適な形を模索しましょう。

システムを連携させデータを一元管理する

営業部門のDX化をきっかけとして、全社でシステムやデータを共有する仕組みをつくることも大切です。もしマーケティングや営業、販売部門などがそれぞれ違ったシステムを用いてDX化を進めてしまうと、互いの連携がとれず効率が悪くなってしまいます。

特に営業はマーケティングと本来切っても切り離せない関係にあります。互いにシステムを共有して、顧客データを一元管理することでチームプレーを発揮し、売上の向上が見込めるでしょう。

これからの時代はデータをいかに整理・分析して活用するかが問われます。マーケティングが収集した顧客データを確実に売上に繋げるために、システムをしっかりと連携させておきましょう。

できる部分から少しずつDX化に取り組もう

今回は営業部門のDX化の意義や実際の手順、そして考え方のポイントを解説しました。DXは業務と組織全体の変革なので、まずは全体を最適化するビジョンを明確にしてから取り組むべきというのは先に述べたとおりです。しかし実際に現場にツールなどを導入していく際は一度に取り組もうとせず、部分的にできるところから始めるようにしましょう。

DX化によって慣れないツールを使用したり、営業スタイルを変化させるのは現場のメンバーにとって負担になります。そのため人的負担にも配慮しながら、少しずつDXを実現させましょう。

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