主要なLLM開発企業とそのAIツール10選をご紹介

生成AIブームの主役として注目される大規模言語モデル(LLM)は、いまや業務プロセスそのものを刷新する“基盤インフラ”に進化しています。

とはいえ「ChatGPT = LLM」とひと括りにできないほど、提供企業ごとに性能・料金・セキュリティ体制は多様です。
適切な開発企業を選び抜くには、モデルの精度だけでなく提供形態やガバナンス支援まで立体的に比較する視点が欠かせません。

この記事では、LLMの基本概念と生成AIとの違いを整理したうえで、AIツールの開発企業と製品を総覧し、選定時のチェックポイントをわかりやすく解説します。

また、AIツールの活用にあたり、「どのサービスを選べばいいかわからない」という方は、AI活用研究所に相談するのもおすすめですので、興味のある方はぜひお問い合わせください。

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目次

LLM開発企業とは?導入前に押さえる基礎知識

大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)は、大量のテキストを学習させたニューラルネットワークであり、高精度な自然言語処理を実現します。こうしたLLMを研究・提供する会社を総称してLLM開発企業と呼びます。

代表的な企業では、モデルの提供形態が「API/SaaS」と「オンプレミス配布」に大別され、料金体系も月額ライセンス制と従量課金制に分かれます。

まずは“誰がどのようなモデルを持ち、どう課金されるか”を俯瞰することが、導入の第一歩です。

LLMと生成AIの違い

LLMは生成AI(Generative AI)を構成するコア技術の一つに過ぎません。

生成AIは画像・音声・動画など多様なデータを生成できますが、LLMはテキスト生成・理解に特化している点が特徴です。

例えば、ChatGPTの回答やClaudeの議事録要約はLLMが担い、DALL‑Eの画像生成やRunwayの動画生成は別領域の生成AIが担当します。

導入検討時には「自社業務で必要なのはテキスト生成か、画像生成か」を切り分けると失敗を避けられます。

LLM開発企業が提供する主な価値

LLM開発企業は、

①高性能モデルのAPI提供
②セキュアな企業専用環境
③カスタムファインチューニング支援
④周辺ツール(RAG・評価基盤)提供

という4つの価値をもたらします。特にエンタープライズ向けでは、セキュリティ認証(ISO 27001、SOC2 等)やガバナンス機能が差別化要素です。

また、利用企業の独自データで再学習させるサービスも増えており、ドメイン特化型の回答精度を短期間で高められます。

営業・マーケ担当が知るべきLLM活用シーン

営業部門では、問い合わせメールの自動返信や商談議事録の要約にLLMが活躍します。

マーケティング領域では、ペルソナごとのパーソナライズ文案生成やSEO記事構成案作成が代表例です。

さらに、社内ナレッジ検索のチャットボット化により、新人でも即座に資料や事例を引き出せるようになり、生産性が劇的に向上します。

注目のLLM開発企業10社と主力プロダクト

本項では、LLMプロダクトを開発する企業を10社紹介し、その開発企業が提供するツールの特徴や主要プランを解説いたします。

まずは、どの開発企業がどのような特徴を持つLLMを開発しているのか、頭に入れておきましょう。

OpenAI ― GPT‑4o / ChatGPT Enterprise

ChatGPT
項目内容
プラン/料金Plus:約3,000円 / 月
Team:約4,800円 / 月
Enterprise:要問い合わせ(概算4,800円 / 席 / 相当)
初期費用0円
運営会社OpenAI Co, LLC
日本語対応あり
公式ページhttps://openai.com/enterprise

GPT‑4oはテキスト・画像・音声をリアルタイムで扱えるマルチモーダル版GPTで、従来比50%の低レイテンシと低コストを実現しています。

2025年3月のアップデートで指示追従性やコード生成がさらに強化され、非英語も高精度に処理できるようになりました

Enterprise版ではSOC2準拠のデータアイソレーションや管理者向け分析ダッシュボードを備え、機密情報を扱う企業でも安心して利用できます。

APIの従量課金はGPT‑4 Turboより約30%低価格で、PoCから本番移行までスムーズです。

口コミ
「ChatGPT は“質問入力だけで迅速かつ正確な回答を得られ、それだけで多くの時間を節約できる唯一のツール”と高評価されています。」|引用元:G2
「複雑なタスクや複数のプラットフォームとの統合など、多様なユースケースに対応できる非常に強力なツールである。」|引用元:AppyPie

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Google ― Gemini / Vertex AI Generative Platform

Gemini
項目内容
プラン / 料金Advanced:約2,900円
初期費用0円
運営会社Google LLC
日本語対応あり
公式ページhttps://gemini.google.com/?hl=ja

Geminiは、2023年12月にGoogleが開発した高機能生成AIモデルです。テキストや画像、音声、動画を用いて、チャット形式で簡単に高度なタスクを指示できます。

Geminiは「マルチモーダルAI モデル(※)」と呼ばれている生成AIツールです。
※マルチモーダルモデル:テキストから画像・音声・動画といった、複数の異なるデータを同時に学習し、処理できるように統合されたAIモデルを指します。

マルチモーダルAIの例には、大規模言語モデル(LLM)に画像入力を対応させることで進化した前出のChatGPTなどがあります。

種類の異なる情報やデータを行き来し、関係性を作りながら推論する能力と自然言語処理技術とを組み合わせることで、より自然で効率的なタスク処理の実現が期待されています。

口コミ
「使いやすいUIと信頼性高い処理速度が魅力。」|出典元:ガートナー
「Gemini API や生成AI SDK により、多様なタスク(検索・画像生成・RAGなど)を迅速に統合でき、モデル管理や評価も容易。」|出典元:Google Cloud

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Anthropic ― Claude 3 Suite

Claude 3 Suite
項目内容
プラン / 料金Pro:約3,000円 / 月
Max:約15,000円/ 月〜
Team:月額約4,500円 / 人 ※5名から利用可能
Enterprise:要問い合わせ
初期費用0円
運営会社Anthropic PBC
日本語対応なし
公式ページhttps://www.anthropic.com

Claude 3(Opus / Sonnet / Haiku)は、最大20万トークンの文脈保持と高い論理推論能力が特長で、リアルタイムチャットにも耐える高速性を持ちます

Haikuは、研究論文1本(約10kトークン)を3秒で読解し要約できる最速モデルとして注目されています。

2025年夏リリースの「Claude Code」機能により、Git操作・テスト実行をAIが自律的にこなす開発支援も可能になりました。

EU‐US Privacy Framework準拠のデータ保護と企業向けSLAを提供し、コンプライアンス要件が厳しい業界にも適合します。

口コミ
「顧客対応チャットやデータ抽出タスクに最適で、リアルタイムで迅速に応答できる。」|出典元:Anthropic
「CLI+UI 両方に対応し、操作性が高く9/10の使いやすさ評価。幅広いタスクに対応できる高い汎用性が魅力。」|出典元:Team‑GPT

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Microsoft Azure ― OpenAI Service for Enterprise

Azure OpenAI Service
項目内容
プラン / 料金入力:約 280円 / 100 万トークン
出力:約1,120円 / 100 万トークン
初期費用0円
運営会社AMicrosoft Corporation
日本語対応あり
公式ページhttps://azure.microsoft.com/ja-jp

Azure OpenAI ServiceはGPT‑4oやEmbeddingsをAzure基盤で提供し、VNet隔離・Private Linkで通信を閉域化できます。

2025年4月に「GPT‑4o audio realtime API」が公開され、音声入出力のライブエージェントを低遅延で構築可能になりました。

Azure OpenAI Studioでノーコードプロンプト評価やRAGパイプライン生成ができ、Log Analytics連携でモニタリングも一元化

既存のAzure AD認証やKey Vaultと統合できるため、MSスタックを使う企業には実装コストを圧縮できるメリットがあります。

口コミ
「Azure上で OpenAI モデルを利用すると、データプライバシーが確保され、GDPR準拠企業でも安心して使える点が大きなメリット。」|出典元:Medium
「Azure OpenAI Service はセキュリティと統合のしやすさが優れており、企業導入でも満足度の高い結果が得られた。」|出典元:G2

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Meta ― Llama 3

Llama
項目内容
プラン / 料金入力:約123円 / 100 万トークン
出力:約123円 / 100 万トークン 
初期費用0円
運営会社Meta Platforms Inc.
日本語対応あり
公式ページhttps://www.llama.com/

Llama 3は8B / 70BパラメータのオープンウェイトLLMで、商用ライセンスが緩やかなためローカル推論や派生モデル開発が活発です。

AWS BedrockやGoogle Vertex AIからManaged APIとしても利用でき、オンプレ環境とクラウドのハイブリッド構成を取りやすいのが強み

開発者向けにTransformer実装が公開されており、ファインチューニングの知見が豊富に共有されています。

コスト効率が高く、GPU1枚環境でも70Bモデルが動作する量子化レシピが公式ブログで配布されるなど、導入障壁が低い点も魅力です。

口コミ
「Vertex AI Model Garden では Llama 3.1 / 405B や 70B モデルが利用可能になり、多様な言語タスクに対応できる柔軟性が評価されています。」|出典元:Google Cloud
「Model Garden 上では設定だけで Llama 3 を導入でき、構築負荷が少なく開発のスピードが格段に向上する。」|出典元:Google Cloud

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Cohere ― Command A

Cohere「Command A」
項目内容
プラン / 料金入力:約70円 / 100 万トークン
出力:約210円 / 100 万トークン
初期費用0円
運営会社Cohere Inc.
日本語対応部分対応
公式ページhttps://cohere.com/command

Cohereの新モデル「Command‑A 03‑2025」は、256kトークンの長コンテキストを扱え、前世代比でスループットが大幅向上しました。

RAG特化のRetrieval‑Augmented APIや高精度Embeddingsがセットで提供され、検索と生成パイプラインを少ない行数で構築できます。

カナダ本社のためEU・USだけでなくデータ主権を気にする北米企業に人気が高いのも特徴です。

料金はGPT‑4クラスより3〜4割安く、コストパフォーマンス重視企業に適します。

口コミ
「高度な言語理解や応答生成タスクに適したモデルで、ビジネス用途に十分な性能を備えている。」|出典元:PeerSpot
「多数のユースケースに対応でき、必要に応じてカスタムモデルをトレーニングできる柔軟性が評価されています。」|出典元:Cohare

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NEC ― cotomi

NEC Generative AI Framework
項目内容
プラン/料金要問い合わせ
初期費用要問い合わせ
運営会社日本電気株式会社
日本語対応あり
公式ページhttps://jpn.nec.com/LLM/index.html

NECは日本語最適化LLM「cotomi Pro / Light」を核に、RAG基盤や評価ツールを一体提供するフレームワークを展開しています。

cotomi ProはELYZA Tasks 100やJapanese MT‑BenchでGPT‑4同等の精度を示しつつ、標準GPU2枚環境でGPT‑4の約5倍高速というスループットを達成しました。

2025年には、Ciscoと提携しAIガバナンス支援サービスを強化し、公共・金融向けに利用実績が拡大したので、オンプレ / 閉域網導入が想定されるため、データ持ち出し禁止要件にも柔軟に対応できます。

口コミ
「社内利用により、資料作成時間が50%削減、議事録作成が平均30分から約5分に短縮、ソースコード作成工数も80%削減という導入成果が報告されています。」|引用元:Alsmiley
「高い日本語理解能力と軽量モデル設計により、標準GPUサーバーで短期間に業務特化型LLMの構築が可能であり、顧客から高評価を得ています。」|引用元:Alsmiley

>>  NEC cotomi を見てみる

NTTデータ ― tsuzumi / AI Co‑Creation Platform

tsuzumi
項目内容
プラン/料金従量課金方式
初期費用要問い合わせ
運営会社株式会社 NTTデータグループ
日本語対応あり
公式ページhttps://www.rd.ntt/research/LLM_tsuzumi.html

tsuzumiは0.6B・7Bの軽量モデル構成で、GPU1枚やCPU環境でも高速推論が可能な省電力設計が特長です。

日本語・英語のバイリンガル対応に加え、マルチモーダル機能で画像や図表理解も行えます

2025年時点でPay‑as‑you‑go APIを公開し、1kトークン0.25円前後の低価格を実現。NTTグループの通信インフラと親和性が高く、オンプレ / エッジ展開にも強みがあります。

口コミ
「多くの導入企業で「自然で正確な日本語による要約・分類・対話処理が可能」と評価され、業務自動化と社内ナレッジ活用の促進に高い実用性ありとされています。」|引用元:ビジネス講座見つけ隊
「コンタクトセンターのオペレーター支援として、蓄積されたナレッジからリアルタイムに応答候補を提示することで、応対品質の向上と稼働時間削減に貢献しています。」|引用元:NTT

>>  tsuzumi を見てみる

Preferred Networks ― PFN Japanese LLM(PLaMo)

PLaMo
項目内容
プラン/料金無料デモあり
初期費用要問い合わせ
運営会社株式会社 Preferred Networks
日本語対応あり
公式ページhttps://plamo.preferredai.jp/

PFNのPLaMoシリーズは日本語特化ながら英語も高い水準で理解し、2024年12月公開のPLaMo Primeでは16kコンテキストに拡張されました。

2025年5月には翻訳特化モデル「PLaMo Translate」を無償公開し、中小企業でも手軽に試せる環境を用意しています。

APIはオンプレ提供も可能で、売上10億円未満の企業には無償ライセンスが用意されるなど導入ハードルが低い点が魅力です。

研究開発レポートでは100Bパラメータ版も試験公開され、日本語ベンチで国内トップ級の精度を記録しています。

口コミ
「金融分野向けのベンチマーク評価において、PLaMo‑100B が高度な精度を示し、supervised finetuning によってさらに性能が向上していると報告されています。」|引用元:Preferred Networks Blog
「PFNの別技術記事でも、PLaMo‑13B が日本語・英語混載ベンチマークで世界トップ水準の性能とされ、高評価を得ています。」|引用元:Preferred Networks Blog

>> PLaMo を見てみる

LLM開発企業を比較する7つの評価軸

モデル性能と多言語対応

LLMはベンチマークスコアだけでなく、社内ドメインでの実用精度が重要です。

特に営業・マーケ資料には日本語と英語が混在するため、多言語の推論品質を検証しましょう。

セキュリティ・ガバナンス体制

ISO 27001やSOC2取得の有無、監査ログ、SAML SSOなどの機能が比較ポイントです。

データ保護ポリシーを公開しているベンダーは信頼性が高い傾向にあります。

データプライバシーと国産ニーズ

個人情報や営業秘密を扱う場合、国内データセンター / オンプレミス展開が求められるケースがあります。

NECやNTTデータ、PFNなど国産LLMはこの要件に強みを持っています。

導入コストとライセンス形態

予算が限られる中小チームでは、月額サブスクリプションと従量課金のどちらが総コストを抑えられるかの試算が欠かせません。

既存業務システムとの連携性

CRM、MA、SFAといった既存SaaSとAPIで連携できるかが運用の肝です。

Google Vertex AIやAzure OpenAIはGCP / Azureサービスとの親和性が高く、実装工数を削減できます。

サポート・パートナーエコシステム

日本語のヘルプデスクや導入コンサルがあるか、SIerとの連携メニューが整っているかを確認しましょう。

OpenAIのエンタープライズ認定パートナーや、NECの「Generative AI Hub」なども参考になります。

将来性とロードマップ公開度

発売後も継続的にモデルをアップデートし、拡張機能のロードマップを公開している企業は安心感があります。

また、資金調達状況や研究発表頻度もチェックポイントです。

LLM開発企業・製品選定に関するよくある質問

SaaS型とオンプレ版の違いは?

SaaS型はインフラ管理が不要でスピーディに使い始められる一方、通信経路上のデータ保護が課題になります。

オンプレ版は高セキュリティですが導入コストと運用負荷が上がるため、機密度と予算を基準に選択するのが王道です。

API連携の難易度はどの程度?

主要LLMはRESTかgRPCのシンプルなAPIで提供されており、公式SDKやサードパーティ製ラッパーも充実しています。

ただし、RAG連携やバッチ推論には追加のデータ基盤が必要になるケースが多いので、PoCで確認しましょう。

国内データセンター対応は可能?

GoogleやMicrosoftは東京リージョンで推論可能ですが、利用リージョンを手動設定する必要があります。

NEC・NTTデータ・PFNは国産データセンターを前提にしているため、国内データ持ち出し禁止要件に適合しやすい点が強みです。

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