コールドメールとは?BtoBでの書き方と日本の法律でおさえる点

海外のセールス事例を調べていると、「コールドメール」という言葉を目にする機会が増えました。面識のない相手にメールで接点をつくる手法として、BtoBの新規開拓でも関心が高まっています。

一方で、日本には「特定電子メール法」があります。海外の事例と同じ進め方を、そのまま取り入れられるとは限りません。会社の信用にも関わるため、送る前に法律の考え方を整理しておくことが大切です。

そこで本記事では、次の3点を解説します。

  • コールドメールの意味と、コールドコール・メルマガとの違い
  • 日本で送る前に確認したい法律と、本文に載せる表示事項
  • 返信につながる書き方と、メール単体で終わらせない進め方

新規開拓の進め方を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

コールドメールとは

新規開拓の手段として検討する前に、まずは言葉の意味を整理しておきましょう。ここでは、コールドメールの定義と、似た言葉との違いを確認します。

コールドメールの意味と、コールドコール・メルマガとの違い

コールドメールとは、これまで接点のない相手に対し、事前の関係づくりをせずに送る営業メールのことです。「コールド」には、相手との関係が温まっていない、つまり面識ややり取りがない状態という意味合いがあります。

似た言葉に、コールドコールとメールマガジンがあります。コールドコールは、同じく接点のない相手へ電話でアプローチする手法です。メールマガジンは、配信に同意した相手へ継続して届けるメールを指します。違いは次の表のとおりです。

項目コールドメールコールドコールメールマガジン
手段メール電話メール
接点の有無なしなしあり(登録などで接点がある)
同意の有無事前の同意を得ていないことが多い同意を前提としない配信への同意を得た相手に送る
送信頻度単発から数回のフォロー状況に応じて再架電週1回・月1回など定期的

BtoBの新規開拓でメールが使われる理由

BtoBの新規開拓でメールが使われる背景には、電話がつながりにくくなっていることがあります。担当者が会議や外出で席を外していることも多く、電話だけでは話せる機会を得にくいのが実情です。その点、メールは相手が都合のよいタイミングで内容を確認できます。

また、1通あたりのコストが低く、件名や文面を変えながら試せることも理由の一つです。反応を見ながら改善を重ねやすいため、限られた人員でも取り組みやすい手法といえます。

コールドメールのメリットと限界

導入を検討するときは、良い面だけでなく限界も知っておくと、期待値を適切に持てます。ここでは、メリットと限界を順に整理します。

メール営業のメリット

コールドメールの大きなメリットは、低コストで広い範囲にアプローチできることです。電話のように1件ずつ時間を取る必要がなく、リストがあれば同じ内容を多くの企業へ届けられます。

もう一つは、送信記録が残り、反応を数値で検証できることです。送信数に対する返信の割合などを確認できれば、件名や本文のどこを見直すべきか判断しやすくなります。感覚ではなくデータをもとに改善できるため、営業の仕組み化にもつながります。

コールドメールの限界

一方で、コールドメールには限界もあります。まず、開封されない、返信が少ないという前提で考えておく必要があります。面識のない相手から届くメールは、読まれずに終わるケースも少なくありません。

また、送り方によっては迷惑メールフォルダに振り分けられるおそれがあります。一斉送信を繰り返すと、送信元の信頼性が下がり、届きにくくなることも考えられます。

さらに、メールだけで商談に進むのは難しく、電話や資料送付といった他の手法と併用する前提で設計することが大切です。


日本でコールドメールを送る前に確認したい法律

海外の事例をそのまま真似できない理由は、日本の法律にあります。ここでは、特定電子メール法の枠組みを、送る前に確認したい順に整理します。

※本章は、総務省・消費者庁の「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」をもとにした一般的な解説です。実際の運用にあたっては、最新の資料や専門家にご確認ください。

特定電子メール法の対象と、原則となるオプトイン規制

特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)は、広告や宣伝を目的とするメールを対象にした法律です。送信者が営利を目的とする団体や、営業を営む個人である場合が対象となり、受信者が法人であっても適用されます。一方で、取引条件を案内する事務連絡や、広告・宣伝の内容を含まない挨拶のメールは、対象にあたらないとされています。

原則として、あらかじめ送信に同意した相手にしか、広告・宣伝メールは送れません。これを「オプトイン規制」と呼びます。この原則だけを読むと、面識のない相手に送るコールドメールは送れないように見えます。ただし、同意がなくても送れる例外が定められています。

同意がなくても送れる3つの例外と、例外にあたらないケース

同意がなくても送れる例外は、法第3条第1項に定められています。BtoBで関係しやすいのは、次の3つです。

  • 名刺などの書面で、自らメールアドレスを通知した相手
  • すでに取引関係にある相手
  • 自社のメールアドレスをインターネット上で公表している団体・営業を営む個人(法第3条第1項第4号)

BtoBのコールドメールは、3つ目の「公表」にあたるケースが多いと考えられます。ウェブサイトに問い合わせ用のアドレスを載せている企業は、これに該当します。

ただし、アドレスと併せて広告メールの送信を断る旨が掲載されている場合は、公表にあたらないとされています。たとえば「営業メールお断り」と書かれたページのアドレスには、送れません。送信前に、相手サイトの記載を確認する運用が必要です。

あわせて、配信停止の申し出を受けた相手に、その後も送ることは認められていません。

本文に記載が必要な表示事項

特定電子メールを送るときは、本文に決められた事項を表示する義務があります(法第4条)。表示すべき内容は次のとおりです。

表示事項内容
送信者の氏名・名称正式な氏名または名称。サービス名や屋号だけの表示は不可
受信拒否の通知先メールアドレスまたはURL
受信拒否を通知できる旨通知先の直前または直後に記載
送信者の住所送信に責任を持つ者の住所
苦情・問い合わせの受付先電話番号、メールアドレス、URLのいずれか


送信者情報を偽って送ることも、禁止されています(法第5条)。表示義務や送信の制限を守らない場合は、国から送信方法の改善を命じる措置命令の対象になることがあります。


返信率を上げるコールドメールの書き方

ここからは実践パートです。リスト、件名、本文、送るタイミングの順に、返信につながりやすい考え方をまとめます。

送る前にリストの精度を決める

コールドメールの結果は、文面の工夫よりも、誰に送るかで大きく左右されます。そのため、書き始める前にリストの精度を決めておくことが大切です。

まずは、業種・エリア・従業員規模といった条件で、送る相手を絞り込みます。自社の商材が役立ちそうな企業に絞るほど、相手にとって自分ごととして読まれやすくなります。広く送って反応を待つよりも、条件を決めて少しずつ試すほうが、改善点も見つけやすくなります。

件名と本文は短く、依頼を1つに絞る

件名は、メールの一覧で表示される文字数を意識して、短くまとめます。売り込みを前面に出した件名は、避けられやすい傾向があります。

本文は、相手の状況に触れた一文を冒頭に置きます。自社の説明よりも、相手にとっての利点を先に書くと、読み進めてもらいやすくなります。依頼事項は1つに絞ると、返信のハードルが下がります。

1. 件名の例

件名の例ポイント
避けたい例【大幅コスト削減】梱包資材のご案内|今だけ特別価格売り込みが前面に出ていて、一覧で長く切れる
使いやすい例〇〇の新ライン稼働を拝見しました(ご相談)相手の状況から入り、短い

一覧で見える文字数は、端末やメールソフトによって異なります。大切な内容は件名の前半に置いておくと無難です。

2. 本文の例

件名:〇〇の新ライン稼働を拝見しました(ご相談)

〇〇株式会社
購買ご担当者様

突然のご連絡失礼いたします。株式会社サンプル商事の山田と申します。
貴社のウェブサイトで、〇〇工場の新ラインが稼働を始めたと拝見しました。

新ラインの立ち上げ時期は、梱包工程の手間や資材の手配が増えやすいと伺います。当社は食品メーカー向けに、〇〇の梱包資材を扱っており、梱包にかかる作業時間を減らした事例があります。

3枚ほどの事例資料をお送りしてもよろしいでしょうか。ご興味があれば、「資料希望」とだけご返信ください。

本メールは、貴社ウェブサイトに公開されているメールアドレス宛にお送りしています。

――――――――――
株式会社サンプル商事 営業部 山田 太郎
〒000-0000 〇〇県〇〇市〇〇1-2-3
TEL:00-0000-0000
苦情・お問い合わせ:info@example.co.jp
配信停止をご希望の場合は、こちらへご連絡ください:stop@example.co.jp
――――――――――

例文のポイント

  1. 相手の状況に触れた一文が冒頭にあります。「新ラインが稼働を始めた」と、相手の公開情報から入っています。
  2. 相手にとっての利点が先で、自社の説明は短くしています。3文目は「相手の状況、次に自社」の順です。
  3. 依頼は1つだけです。「資料を送ってよいか」に絞り、面談や電話の依頼は混ぜていません。
  4. 表示事項を署名の中に入れています。送信者の名称、住所、苦情・問い合わせ先、受信拒否の通知先は、前章で解説した項目です。

3. 例文を使うときの注意点

  • 〇〇の部分や「事例がある」という表現は、根拠のある自社の実績だけにしてください。数字を入れる場合も同じです。
  • 送る前に、相手のサイトに「営業メールお断り」などの表示がないか確認します(前章の例外の話につながります)。
  • 配信停止の連絡を受けたら、以降は送らない運用が必要です。

送信のタイミングとフォローをあらかじめ決めておく

送信は、一度に大量に送らず、反応を見ながら調整します。結果を検証するために必要な最低限の送信数を、あらかじめ決めておくと判断がぶれません。

また、1通で終わらせず、期間を空けて再アプローチすることも大切です。フォローの回数と間隔を先に決めておけば、送りすぎを防ぎつつ、接点を保てます。

文面の作り方や送り方をさらに詳しく知りたい方は、「効果的な営業メールの作成のコツや送り方・効率化する方法を解説」もあわせてご覧ください。

コールドメール単体で終わらせない|リスト・メール・電話を組み合わせる

メールだけで商談につなげるのは簡単ではありません。ここでは、リスト作成からメール、電話までを一つの流れで進める考え方を紹介します。

リスト作成からアプローチまでを1つの流れにする

新規開拓のメールを送るまでには、リスト作成、文面づくり、送信、結果の確認と、多くの工程があります。リスト作成に工数を取られると、送信と検証に回す時間が足りなくなりがちです。

Sales Crowdは、営業活動における新規開拓の準備・実行・改善を支える、新規開拓営業プラットフォームです。大規模な法人データベースから、業種・エリア・従業員規模などの条件に合う企業を抽出できます。抽出した企業へそのままメール送信につなげられるため、リスト作成から新規開拓メールの送信までを、一つのシステムで進められます。

メールと電話を組み合わせて接点を増やす

メールだけ、電話だけで進めるより、組み合わせたほうが相手と接触する機会は増えます。たとえば、架電しても不在だった相手に、自動で追撃メールを送る機能がSales Crowdには搭載されています。手作業でメールを送る手間がなくなり、かけ直すまでの間も接点が途切れません。

こうしたSales Crowdの機能は、新規開拓の支援サービス「Sales Platform」でも利用できます。Sales Platformは、電話営業をはじめとした営業支援に加えて、データ分析ツールのSales Crowdを活用しながら進められるサービスです。

Sales Platformを導入したワイディエル株式会社は、AVシステムの設計・施工を手がける企業です。もともと代表の山崎氏が自ら営業メールを送って新規開拓を進めており、メール営業では一定の成果が出ていました。一方で、電話でのアプローチまでは手が回っていませんでした。

新規事業のインタラクティブサイネージの市場開拓では、MAツールでメールを送り、その後にフォローコールを行う流れを組んでいます。フォローコールの対象は、部署直通の電話番号がわかっている約2,000件です。メールだけでは5,000件に1件ほどしか反応がありませんでしたが、電話を組み合わせてからは、数週間の時点で1日1件ほどのペースで商談が設定できているとされています。


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送信結果と架電履歴を一元管理する

誰にいつ何を送ったかが分からないと、同じ相手へ重複して連絡したり、フォローの機会を逃したりします。メールの開封・返信と、架電の記録を同じ画面で確認できる状態をつくると、次の一手を判断しやすくなります。

Sales Crowdでは、アプローチの結果を一元管理できます。メールと電話の履歴がまとまっていれば、担当者が変わっても、これまでの経緯を踏まえて連絡を続けられます。

株式会社ヒョウベイの事例では、Sales Crowdで電話営業の結果をデータとして取得できるようになり、相手のニーズや次の対策が明確になったとされています。担当者は、こうした仕組みがなければ相手の反応が分からず、次の営業活動に迷いや不安が残ったという趣旨のコメントを寄せています。

まとめ|コールドメールは法令対応とリスト設計から始める

ここまで、コールドメールの意味から、日本で送る際のルール、書き方、他の手法との組み合わせ方までを解説しました。最後に、要点を振り返ります。

押さえておきたい3つのポイント

  1. コールドメールは、接点のない相手へ送る営業メールです。BtoBの新規開拓の手段として使われています。
  2. 日本では、特定電子メール法の確認が必要です。公表されているアドレス宛は例外にあたるケースが多いものの、拒否の表示の有無と、本文の表示事項は必ず確認しましょう。
  3. メール単体では完結しにくい手法です。リスト作成と架電をセットで設計すると、成果につながりやすくなります。


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