営業マネージャーなら知っておきたい、営業戦略と営業戦術の違い

【最終更新日:2021年1月9日】

営業戦略会議などでよく耳にする「営業戦略」と「営業戦術」という言葉。漢字も似ているし、同じような意味で使っている人も多いのではないでしょうか。

営業マネージャーであれば、部下の前で「営業戦略」と「営業戦術」という言葉 を使って発言する機会も出てくることでしょう。 ここでは「営業戦略」「営業戦術」の違いや、営業戦略を立てる際に気をつける点、また見込み客を育てるという視点についてご紹介します。

営業戦略と営業戦術の違い

厳しい企業同士の競争を勝ち抜くためには、しっかりとした営業戦略を立てる必要があります。言葉の意味の違いを理解したうえで効率的な営業戦略を立てていきましょう。

営業戦略とは

「営業戦略」とは売上アップや事業エリアの拡大といったような、目標達成のために「どの市場で」「どのくらいの期間で」「どの商材を」「どのターゲットに」などの作戦を練ることです。事業部単位で作るものが一般的です。

作戦の大きな枠組みのようなものだと考えると良いでしょう。組織運営などにあたり将来を見通して、長期的な目標を立てていくのです。フレームワークを作ることで、どう動いていくかという方向性も決まりやすくなります。

営業戦略はチームで決めるという訳ではなく、経営者や責任者が決定する場合が多く見られます。

営業戦術とは

「営業戦術」は「営業戦略」で立てた作戦をどんなやり方で進めていくかという、具体的な方法のことです。

例えば、営業戦略で立てたターゲットが女性であった場合、「女性向けの媒体に広告をいれる」などといったような、「目標達成のための手段」なのです。営業戦略が事業部単位なのに対し、営業戦術は「チーム」や「個人」で練っていきます。

長期的な目標の営業戦略と異なり、営業戦術は「中短期的」な目標を立てます。ひとつの戦術を実行したら分析し、もし不成功に終わったのであれば別の戦術に切り替えるなどの対応が必要となります。

営業戦略を立てる際に気をつける点

実際に営業戦略を立てるとなると、気をつけておきたいプロセスがいくつかあります。

あまりに壮大すぎる戦略を掲げても現実的なものでなければ意味がありません。また反対に目標が簡単に達成できるようでも問題です。まずは、これから自社が足を踏み入れる世界の現状や、つい見過ごしがちな自社の現状を調査することが大切なポイントになってきます。

目標とやるべきことを明確に示すことは、社員が向かっていく方向性を示す道標となります。チームが迷子になり、立ち止まってしまったり、逆方向に進んで行ったりしないような営業戦略を立てましょう。

まずは現状を把握する

これから自社が参入する業界がどのような現状なのかを把握しておく必要があります。「どのような層にニーズがあるのか」「他社はどの程度参入しているのか」「業界が成熟しているのか」など、まずは市場調査を行いましょう。

アプローチすべき層を間違えてしまうと時間も経費も無駄になってしまいますし、競合他社がいる場合は他社と同じことをしていても商材をアピールすることはできません。これから市場に参入する場合どの程度の伸びが期待できるのかという予測も立てやすくなります。

また、他社の現状だけでなく、自社の現状も把握しておきましょう。過去に取り組んできたプロジェクトで成功した例や、問題になっている事柄と照らし合わせておくと、これからの流れや、問題になってくるであろう部分が見えてきます。

現状の把握は「効率よく最短の道のりでゴールへたどり着くためのシナリオ」を作るようなものなのです。

自社の強み・弱みを把握する

市場調査を行ったら次に考えるべき項目は「他社に比べた場合の自社の強み、弱みは何か」を把握することです。

他社より優っている部分はアプローチする際の大きな武器となります。詳細に理解しておき比較しながら商談をすると、顧客も納得しやすいので早期の契約締結に繋がりやすくなります。

一方で自社の弱みも把握しておきましょう。あえてデメリットを顧客に伝えるとこはマイナスになってしまう気もするでしょうが、顧客にとっては把握しておきたい重要な部分なのです。場合によっては信頼感を得ることもできますし、このデメリットを利用した戦術で商談を有利に進めることも可能になるのです。

具体的な方針を決める

営業戦略の大きな骨組みができてきたら、次は更に具体的な方針を決めていきましょう。あまりに壮大な夢のような目標は現実的ではありませんし、逆に簡単に目標達成できてしまうようなものでもチームの意欲が下がってしまいます。

営業目標は「少し高め」くらいに設定しましょう。達成実現が夢ではないと感じられる程度が、事業の発展や社員一人一人の成長に繋がります。

また、実際に実行する事柄はたくさんあればある程良いという訳ではありません。あくまで効率的にプロジェクトを進めるためのものですから「とりあえず入れておこう」より「どれが効果的か」という視線で選んでいく必要があります。

見込み客を育てるという視点を忘れない

市場調査をした際にセグメンテーションと呼ばれる「顧客のニーズを細分化」する作業を行いターゲットを絞り込みますが、この時点で「この顧客層はニーズがないだろう」と考えていた層が将来的に顧客になることもあります。

例えば商材が「白髪染めの薬剤」だった場合。現在必要のある層は「30代以上の男女」が大半ですから、ターゲット層をそのように設定するでしょう。しかし、30代以上でも白髪が生えていない人もいますし、20代で今は必要なくても将来的に必要になる人は大勢います。「すぐに買ってもらうことはできないけれど、いつか必要になるだろう。その時に自社商材の購入に繋げていけるようにしよう」という考え方も必要です。

将来顧客になるであろう「見込み客」には3つのプロセスがあります。

まず自分の中(もしくは自社内)で、何かしらの課題が発生した時、これを解決しようと商材を調べたり、興味をもったりする段階が1つ目です。「認知、興味」の段階です。先ほどの「白髪染め」で例えるならば、黒髪にチラホラと白髪が目立ち始めた頃です。

2つ目の段階では顧客が積極的に情報収集を始め、競合他社を含むパンフレットを取り寄せたり、商談を行ったりします。「比較、検討」の段階です。白髪染めの成分を調べたり、価格を比較しているような時ですね。詳しく話を聞いたりすることで、より購買意欲が高まるため、クロージングを行うことも可能です。

最後の3つ目は、いよいよ「導入、評価」の段階です。比較検討したうえで、最も課題の解決に対応できると評価された商材が導入されます。自分がイメージする仕上がりに一番近い白髪染めが購入されるわけです。

このように「今は必要なくても、時間の経過とともに顧客が必要性を感じ始める」こともあるので、「見込み客を育てていく」という視点を忘れないようにしましょう。

まとめ

何のために「営業戦略」があるのかといえば、全ては競合他社との厳しい競争に勝ち抜くためです。無計画にただ何とかく事を進めればチームが路頭に迷いますし、あまりに無謀な計画はただひたすら虹を捕まえにいくようなものです。

チームのモチベーションを上げるための高い目標は必要ですが、ある程度の実現可能な範囲で立てることが大切です。ひとつひとつ丁寧にステップを踏んでいくことが、成功を手に入れるための近道になるのです。

他のプロジェクトと相違ないようならば、それらと相違ない程度の結果しかでないでしょう。自社や商材の「らしさ」を大切にしながら、他とは違う営業戦略を立ててみませんか。商材の数だけ、異なる営業戦略があるといっても過言ではありません。

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