「セールススクール」導入で実現した“言語化”と“標準化”による営業改革
株式会社ヤシキ
代表取締役 屋鋪 剛志 様ご利用中のサービス
Sales Platformセールススクール
- 課題
営業の属人化が進み、新人メンバーへの教育が属人的かつ非効率な状態にあった
- 解決策
「セールススクール」を導入し、トークスクリプトやマニュアルによる標準化された教育体制を構築した
- 成果
新人が学べる環境が整い、誰が指導しても一定の水準をクリアできる体制が整った
大阪市生野区に本社を構える株式会社ヤシキは、印刷業と就労継続支援B型事業を展開する地域密着の企業だ。特に印刷事業は、長年の実績を持つ基幹事業であり、就労継続支援B型の利用者には印刷作業などを通じて働く場を提供している。営業はその運営を支える要となる部門だが、マニュアルもなく属人的な体制で課題を抱えていたという。今回は、代表取締役の屋鋪剛志氏に、教育体制の再構築に向けた取り組みと、その変化について話を聞いた。
地域に根ざした印刷会社が抱えていた、営業組織の見えない課題
同社を率いる屋鋪氏は、これまでの経験に裏打ちされた経営手腕を持つ一方で、自社の営業体制に潜む課題に気づき始めていた。
「営業チームは現在3人体制です。これまでは明確なマニュアルがあるわけではなく、各自が自分の感覚を頼りに営業活動を行っていました」(屋鋪氏)
印刷業界は一度取引が始まれば翌年以降も継続するケースが多い。こうした背景もあり、属人的な営業スタイルでも一定の成果を上げてきた。しかし、屋鋪氏の視線は常に先を見据えている。
「顧客との関係性は良好ですが、少しずつ既存のお客様からの発注が減っていました。このままではいずれ仕事がなくなるのではないか。そんな危機感がありましたね」(屋鋪氏)
新たな打ち手として、「Sales Platform」を導入
印刷業界の特性上、既存顧客との継続的な取引が多く、新規開拓は喫緊の課題とはされにくい。しかし同社では、今後の取引量減少を見据えた取り組みとして、アイドマ・ホールディングスが運営する「Sales Platform」の導入を決断した。
「『Sales Platform』を導入したことで、月に1,000件ほどの電話をアイドマさんからかけてもらえるようになりました。すぐに結果はでないと思っていましたので、電話をかける行為自体を“広告宣伝費”として捉えていました。まずはヤシキという社名を知ってもらい、認知を広げることに期待したのです」(屋鋪氏)
「Sales Platform」によるアウトバウンド型支援は、同社にとって従来接点のなかった業界を知る機会にもなったという。これまで教育機関を中心に取引関係を築いていった同社は、「Sales Platform」の支援を受けて、新たな業界や領域へのアプローチを開始。営業領域の再定義にもつながる取り組みとなった。
また、複数業界にアプローチを重ねるなかで、自社サービスと相性の良い業種や部署の傾向も次第に明らかになったという。
「アイドマさんには、いろいろな業界にアプローチしてもらいました。意外にも、企業の総務課や広報課のような部署に対して電話をかけると反応が良く、新たな発見につながりました。後から理解したのですが、こうした部署は社内外に向けた印刷物を扱うことが多く、弊社サービスとの親和性が高いようです」(屋鋪氏)
一方で、すべての業界がターゲットとして適しているわけではない点も、営業活動を通じて明らかになった。
「自動車関連や旅行業界などは、当初親和性が高いと思っていました。しかし、実際はその業界が持つニーズと私たちが提供しているサービスの相性はそこまで高くないことがわかりました。こうした気付きは、営業先を絞る上で良い学びになったと思います」(屋鋪氏)
この経験により、営業リソースをどこに集中すべきか、今後の戦略立案における重要な示唆が得られたという。
属人化の壁と、教育体制の未整備に今こそ向き合いたい
新規開拓の成果が見え始める一方で、社内の営業部が抱える中長期的な課題は依然として残っていた。そのひとつが、「営業の属人化」である。
「新しい営業メンバーが入ってきたときには、リーダー職社員の商談中の録音を聞いてもらっていました。しかしこれでは、ナレッジの共有やルール化にはなりません。業務内容を的確に伝えるためにも、マニュアルの必要性を感じていました」(屋鋪氏)
そうした状況のなかで「Sales Platform」とあわせて提案を受けたのが、アイドマ・ホールディングスが運営する「セールススクール」の導入だった。
「『セールススクール』は専用のトークスクリプトやマニュアルを作成してもらえると聞き、営業体制の基盤を整える際に有効な取り組みだと感じました。社内にはこれまで、体系化されたマニュアルや指導資料が存在せず、新たに加わったメンバーが業務内容を理解・習得するための明確な指針不足が生じていました。標準化された内容をもとに学習できる環境が整えば、指導の質や効率は大きく向上するだろう。そんな期待感があり、利用を開始したのです」(屋鋪氏)
最初に着手したのが、営業スキルとノウハウの言語化だった。まずは、営業リーダーによる実際の商談を複数パターン録音し、「セールススクール」で共有。録音内容をもとにトークの流れや返答パターンを分析し、基礎となるトークスクリプトを作成した。
「アイドマさんからは、『こういう言い回しだとお客様に響きやすいですよ』や『この返し方はどうでしょうか』といった、具体的なアドバイスをその都度もらいました。自社内で考えていたら出てこない角度の提案ばかりで、気付きが本当に多かったです」(屋鋪氏)
トークスクリプトは一度で完成したわけではない。やり取りを重ねながら、同社の特性や営業フローに合った表現へと、何度もブラッシュアップが重ねられた。完成までに要した期間は約2か月。現場の会話をもとにした実用性の高い“教科書”が形となった。
営業の進捗を“見える化” スプレッドシートを活用し属人化を解消
営業の属人性を解消するもうひとつの施策として、「案件管理スプレッドシート」の構築も進められた。これは、各顧客へのアプローチ状況を可視化し、チーム内で共有・把握できるようにするためのツールだ。
「このお客様には何回訪問して今どういう状況か、といった情報を『案件管理スプレッドシート』で可視化しました。誰かが急に休んでも他のメンバーが状況を把握できますし、営業会議でも、進捗がない際の原因分析がデータをもとにできるようになったのです」(屋鋪氏)
それまでは、誰がどの顧客に何をしているのかが可視化されておらず、他のメンバーの活動を確認することすら難しい状態だった。「案件管理スプレッドシート」で属人化しがちな情報が可視化され共有されるようになり、チーム全体の透明性が向上したことで、営業体制に変化の兆しが見え始めた。
「作成したマニュアルとトークスクリプトは、新しい営業メンバーのオンボーディングにも活用しています。導入から7か月経ちますが、営業メンバーが入れ替わるタイミングで力を発揮していると感じます。具体的には、以前は“丸腰でもいいから、とりあえず現場に行ってこい”という営業スタイルを教えていました。
でも今は、マニュアルとトークスクリプトという“予習ができる教科書”があります。事前に学んでもらうことで、オンボーディングもスムーズですし、新人メンバーも安心して現場に向かえるようになりました」(屋鋪氏)
劇的な数字としての成果はこれからだと語るが、同社が進める言語化と可視化の取り組みは属人性を乗り越えるための第一歩となり、今後の営業基盤を見直す契機となっている。
「セールススクール」を“資産”として捉える長期的な視点
「セールススクール」で提供された研修内容は、どの業界でも応用可能な汎用的な構成だったと屋鋪氏は振り返る。異業種の営業事例や体系化された知識体系に触れたことは、既存のやり方に慣れていた営業メンバーにとって刺激となり、視野を広げる機会にもなった。
現時点ですべてのツールやマニュアルを十分に活用しきれているわけではないというが、それでも屋鋪氏は、「セールススクール」により整備された仕組みが今後の営業活動を継続的に支える“資産”として機能することに大きな期待を寄せている。
「今はまだ使いこなしているとはいえませんが、継続的に活用していけば、将来確かな成果につながると感じています」(屋鋪氏)
「セールススクール」の導入を検討すべき企業像を尋ねると、屋鋪氏はその活用とメリットを具体的に示しながら、次のように語った。
「営業メンバーが多い企業ほど『セールススクール』の導入効果は大きくなると思います。共通のマニュアルやトークスクリプトを活用することで、教育体制の均質化や業務プロセスの標準化が進み、結果的にチーム全体のスキルの底上げにつながります。たとえば10〜20人規模の営業チームであれば、コストパフォーマンスの面でも有効だと感じます」(屋鋪氏)
同社における営業改革は、短期間での大きな成果を求めたものではない。「営業の言語化」や「ナレッジ共有の整備」といった、組織の基盤を強化する長期的な取り組みとして、今も着実に前進している。
株式会社ヤシキ
事業内容
印刷事業 、社会福祉事業、コンサル事業