在宅ワーカー導入で工数3割削減、顧客提案の時間を創出
税理士法人Alchemist
代表 井野口 哲 様ご利用中のサービス
Crowd Members
- 課題
定型業務の増加によりスタッフの負担が大きく、顧客提案の時間を確保できなかった
- 解決策
コロナ禍を契機に「ママワークスサイト」を活用し、会計入力などを在宅ワーカーに委託
- 成果
工数を2〜3割削減し、常駐スタッフがコア業務と顧客提案に注力できる体制を整備
税理士法人Alchemistは、税務代理や会計帳簿の記帳代行、相続相談など幅広いサービスを展開する税務・会計の専門事務所である。グループ会社では保険代理業務、経営コンサルティングなどを手掛けている。従業員はグループ全体で約30名が活躍中。今回は代表の井野口氏に、在宅ワーカー導入の背景や運用方法、成果について話を伺った。
若手経営者に寄り添うスタイルで支持を集める税理士法人
約10年にわたり会計事務所に勤務し、独立を視野に経験を積み、「自分にしかできない支援がある」との思いで2007年に、保険代理業務や経営コンサルティングを手掛ける株式会社Alchemistを創立。その後、会計事務所業務に対するニーズが高まったことを背景に、税理士と連携し、グループ内に税理士法人Alchemistを構えお客様のニーズに応じて事業領域を拡大してきた。
同法人の大きな特徴は、スタッフの世代が若く、顧客である創業期の経営者層と目線を合わせやすい点にある。他事務所から移ってきた顧客からは「専門的な話だけでなく、家族のことまで気軽に相談できる」との声も寄せられる。
「他の会計事務所では先生と呼ばれる存在が多く、堅苦しい雰囲気になりがちですが、弊社はフランクな対応を心掛けています。服装もポロシャツなどにすることで、相談しやすい関係を築けるようにしています」(井野口氏)
税務業務は「ゆりかごから墓場まで」といわれるほど人生の節目に密接に関わる。お客様の事業だけでなく人生設計に寄り添う姿勢を持つことで、Alchemistは長期的な信頼を積み重ねてきた。さらに、外見や雰囲気からも固定観念を打破する戦略を取り入れ、古い体質が残る業界の中で差別化を進めている。こうした柔軟なスタンスが、同法人の成長を支える大きな要因となっている。
不安から確信へ、在宅ワーカー活用が生んだ効率化の実感
在宅ワーカー導入のきっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大であった。税務業界では、顧客の大切な書類を外部に持ち出すことが原則禁止されており、出社して業務を行うのが当たり前だった。しかし、コロナ禍により出社が難しくなったことで「リモートでも対応できる業務はあるのではないか」という気づきが生まれた。ちょうどその時期に、アイドマ・ホールディングスから在宅ワーカー活用の提案を受けた。「他の会計事務所でも導入している」との情報も後押しとなり、同法人は新しい働き方に挑戦する決断をしたのである。
募集は「ママワークスサイト」を通じて実施。求人記事の作成から体裁の調整までサポートが受けられるため、担当者は最終確認のみで掲載が可能であった。「会計ソフトの使用経験が3年以上ある方」といった条件を具体的に設定できた点も、即戦力の確保につながった。
「記事の作成や体裁を整えるところまでサポートいただけるので助かっています」(井野口氏)
実際に依頼している業務は、主に会計ソフトへの入力や損害保険の見積もり設計などである。税務代理業務そのものは外部に任せられないが、その前段階の入力作業を切り出すことで、業務の分担が可能になった。導入当初はどの業務を任せられるかを見極めるのに苦労したが、徐々に整理が進み、安定した体制を築けるようになったという。
在宅ワーカーとの連携体制も整備された。社員とママワークスの担当者が月1〜2回ミーティングを行い、進捗や課題を共有。井野口氏の要望もその場で伝え、翌月に改善を反映する仕組みができている。また、在宅ワーカーの中からマネージャーを設定し、クラウド環境上で業務が完結するチームを形成。「画面越しの人に仕事を任せる」ことに不安を抱えていた導入初期から比べ、今ではスムーズなコミュニケーションが実現している。
「最初は不安がありましたが、実際には在宅ワーカーの方のスキルが高く、常駐スタッフ以上に効率的に業務をこなしてくれるケースもあります」(井野口氏)
在宅ワーカーの存在は単なる補助にとどまらず、業務全体を底上げする力となっている。
工数3割削減で顧客提案に注力、今後のさらなる拡大構想
在宅ワーカー導入により、最も大きな成果は「工数削減」と「顧客対応の質向上」である。
以前は業務に追われ、お客様に十分な説明や提案を行う時間が取れないこともあった。しかし現在は、作成した資料を「どう活用するか」まで踏み込んで話せるようになり、サービスの付加価値を高めることに成功している。顧客との関係性をよりフランクに、かつ深く築けるようになった点は、創業当初からの理念である「経営者に寄り添う姿勢」の実現にも直結している。
「結果的に工数の2〜3割は削減できています。常駐スタッフもコア業務に集中できるようになり、クライアント訪問や提案の時間を確保できるようになりました。これは大きな成果だと思っています」(井野口氏)
さらに、ママワークスサイトを通じて経験豊富な即戦力人材を柔軟に確保できる点も大きな利点だ。雇用と異なり、業務委託契約であれば条件に合わない場合は契約をするか検討できる。そのため、限られたリソースを最大限活かしながら、高いパフォーマンスを発揮する人材と出会える。
「常駐スタッフを新たに社員として雇用するよりも柔軟で、事務所にとって最適な体制を整えやすいのです」(井野口氏)
今後の展望としては、5か年計画の中で3年後に売上3億円を達成する目標を掲げている。その実現には、在宅ワーカーとの契約だけに頼らず、その力をさらに広く活用することが不可欠だと考える。会計業務にとどまらず、多様なバックグラウンドを持つ人材を取り込み、相談領域を広げていく構想も描いている。
最後に、これから在宅ワーカー導入を検討する企業へのメッセージを伺った。
「やってみないと分からないことが多いので、『うちの業界では無理だ』と決めつけるのはもったいないと思います。まずは小さく導入してみて、改善を重ねて進めれば良い。固定観念に縛られず、挑戦することが一番大事だと思います」(井野口氏)
税理士法人Alchemist
事業内容
税務代理、税務書類の作成、税務相談、財務書類の作成、会計帳簿の記帳代行、相続遺産分割相談、その他税務に関する業務