中小企業のM&A事例を紹介|メリットやM&Aの手法とは

中小企業M&A

中小企業は経営戦略としてM&Aを検討するのが重要

M&Aと聞くと、大企業同士の問題で自社には関係ないと考えてはいないでしょうか。あるいは大企業に一方的な条件で買収されるというイメージをお持ちの経営者の方もいるかもしれません。けれど今、中小企業が自社の利益を最大化するために、積極的にM&Aに臨むケースが増加しているのです。特に中小企業同士の間では、互いに多くのメリットを得られる、友好的なM&Aが主流なのです。

あらかじめM&Aのメリットや手法についてよく理解しておき、事業を継続・発展させるための1つの選択肢として頭の隅に置いておくことが大切です。変化の激しい現在の産業界で生き残り続けるため、M&Aを経営戦略の一環として捉えましょう。

そもそも中小企業M&Aとは?

中小企業が事業を譲渡する側、あるいは買収する側として行うM&Aのことです。中小企業には法律上の定義があり、資本金および従業員数で定められています。ですが業種によって定義する数字は異なり、例えばサービス業であれば資本金もしくは出資金が5千万以下、あるいは従業員数が50人以下であれば中小企業です。これが製造業になると資本金もしくは出資金は3億円以下、あるいは従業員300人以下という定義になります。

中小企業のM&Aでは、事業承継を目的としたものが多いというのが特徴の1つです。多くの経営者が後継者不足に悩む現在の日本では、中小企業M&Aが事業存続の唯一の手段という場合も珍しくありません。最近では個人事業主も積極的にM&Aの市場に参加してきており、事業を譲渡したい経営者と若い意欲的な個人事業主のマッチングが期待されています。

中小企業M&Aの現状

現在、中小企業M&Aの市場は広がり続けています。中小企業庁の発表したデータを見ると、すでに2012年から2017年の5年間で、その成約件数は5倍という伸びを見せていました。そして今後も中小企業M&Aの市場は右肩上がりの成長を続けると考えられています。

中小企業M&Aが増加する背景として、日本の少子化問題によるマーケットの縮小があげられます。生き残りを賭けて大企業が海外進出などの手段を講じる中、多くの中小企業が戦略的統合によって事業を存続させるという道を選びました。競合同士で統合してシェアを拡大したり、より資本の大きな会社の傘下に入って、自社の技術力を発揮するといった狙いです。

さらに日本の中小企業の多くが後継者不足によって廃業を余儀なくされている現状があります。今後若い世代が減ることで、この問題はますます深刻化するでしょう。現代では、M&Aで他社に事業を譲ることは中小企業にとって魅力的な選択肢の1つとなったのです。

中小企業がM&Aを行うメリット

中小企業がM&Aを行うメリット

M&Aには当然、譲渡する側と譲渡される側の2つの立場があります。小規模企業の場合は特に譲渡する側の立場としてM&Aを検討する可能性が高いでしょう。戦略的な買収によって譲渡される側が大きな利益を得るイメージがありますが、実際には事業を譲る側の企業にもメリットがあります。交渉においてしっかりと自社の利益を追求できるよう、M&Aのメリットについて理解しておきましょう。

ここでは譲渡する側とされる側、どちらのメリットについても詳しく解説します。

後継者問題の解決につながる

事業を譲渡する側にとって、事業継続のための手段としてM&Aを取り入れることがあります。現在最も注目されているのは、事業承継の手段としての中小企業M&Aです。すでに述べたとおり、後継者不在によって廃業に追い込まれる中小企業は増加しています。経営者の子供が事業を継ぐことを望まない、従業員では株式を買い取るだけの資金が本人に無い、など理由は様々です。

さらに後継者が会社を経営できるようにするためには、育成の手間や時間がかかります。中小企業の経営者の高齢化の問題は年々深刻になり、多くの企業は時間的余裕がありません。M&Aを活用すれば短期間で事業の譲渡ができるので、経営者は従業員や取引先への責任といったプレッシャーからも解放されることでしょう。

事業規模を拡大できる

事業を譲渡される側の企業にとっては、M&Aを活用することで効率的な事業拡大が可能です。事業の成長には、通常新技術を開発したり人材を育成したりと、大変な時間とコストがかかります。ですが、M&Aならば他社の技術やノウハウ、人材、さらには取引先や顧客まで丸ごと取り込むことができるので、時間もコストも大幅に節約することができるのです。

事業用資産や不動産などの形のある資産も得られますが、M&Aでは特にこうした無形資産が重視されます。さらには2つの組織が統合されることによって得られる効果、シナジーによって、中小企業も大企業にひけをとらない競争力を得る可能性があるのです。

資金調達につながる

全てのM&Aが、事業承継のように会社全体を譲渡するわけではありません。事業を多角的に展開している企業では、赤字の事業を他社に譲渡して、その売却益を主力事業の資金にするという手法もあります。赤字の事業をきれいさっぱりと手離し、さらに事業を発展させるための資金を得ることで、業績が振るわなかった中小企業でもV字回復が見込めるでしょう。

赤字になっている事業を欲しがる会社なんて無いと思われるかもしれませんが、違う組織に統合されることによって新たなシナジーが生まれる可能性があります。業績が悪いことは買い手を見つけるにあたって不利な要素ですが、他社にとってはそれを上回る魅力があるというケースもあるのです。

中小企業M&Aの手法を知っておこう

中小企業M&Aの手法を知っておこう

M&Aは目的によっていくつかの手法があります。一口にM&Aといっても、その手法によって譲渡する側の経営権や社内体制の変化、譲渡される側が得られるシナジーに大きな違いがあります。M&Aを使って自社が達成するべき目標は何なのかを整理し、最適な手法を選択するようにしましょう。

ここでは、全株式の譲渡・会社分割や事業譲渡・株式の移転や交換の3つについて、詳しく解説します。譲渡する側にとってもされる側にとっても、それぞれの手法のメリットを把握し、まずはM&Aを検討するにあたって3つの手法全てについて知識を持っておくことが大切です。

全株式の譲渡

M&Aと聞いて一般的に思い浮かべるイメージが、この全株式の譲渡というスタイルでしょう。買い手側企業が、買収先企業の株式を全て買い取ることで、会社の経営権を取得します。買収先企業の資産をそのまま取り込み、経営者だけが変わる形になるので、会計面など比較的手続きが容易であるという特徴があります。

譲渡する側の企業にとっては、全株式の譲渡は事業を継続させるために有効な手段です。後継者が見つからなくても廃業を免れ、自社の技術やノウハウが失われずに済みます。また買収する側の企業にとっては、会社を丸ごと取り込むことで、より高いシナジー効果が見込めるでしょう。さらに経営権を全て握ることができるので、買収先企業を自社の事業計画に思い通りに組み込むことができます。

会社分割や事業譲渡

会社丸ごと譲り渡すのではなく、一事業部門を分社化して売却するという手法もあります。会社分割と呼ばれるこの方法であれば、譲渡する側の企業は不要な部門だけを手離して、その売却益で主力となる事業を発展させることができます。買い手側企業にとっても、自社が欲しい事業だけを買い取ることができるのが魅力です。さらに譲渡の対価は自社の株式でもよいので、手元に資金が無いときにもM&Aが利用できる手法となります。

事業部門ごと売買するよりもさらに細かな取引が可能になるのが、事業譲渡です。一事業の中の技術・債務・ブランド・組織・人材・販路といった財産を細分化し、必要なものだけを売買します。特に買い手側企業にとっては、余計なリスクとなるものを譲り受ける必要がないので非常に便利な手法です。

株式の移転や交換

買い手側の企業が相手企業を100%子会社化するためには、株式移転や株式交換という手法が用いられます。株式移転では子会社と親会社の株式の交換を行い、株式交換では子会社の株式を新しく設立する会社の株式と交換することで、持ち株会社とします。

子会社という形をとることで、譲渡する側の企業は別法人となり、経営統合の負担は軽減されることになります。また買い手側企業は、会社分割と同じく自社の株式で対価を払うことができるので、資金が不足しているときにもM&Aを行うことが可能です。ただ100%の株式を譲渡するという意味で株式譲渡と同じであっても、手続きの手間や時間は、株式移転や株式交換のほうがかかるというデメリットもあります。

中小企業がM&Aを成功させるポイント

中小企業がM&Aを成功させるポイント

M&Aを成功に導くためには、多方面に及ぶ専門的な知識やノウハウが必要になります。大企業であれば各方面の専門家を集め、M&A専門のチームを結成して取り組むのが一般的です。それほど頻繁にM&Aを行うわけではない中小企業でも、早い段階から専門家に相談して仲介を頼む必要が出てくるでしょう。

もちろんM&Aの主体となるのは、あくまでも譲渡する側や譲り受ける側の企業の経営者ですから、自身でしっかりとM&Aについての知識をつけることも重要です。ここではM&Aを成功させるポイントについて詳しく見ていきます。

M&Aの目的を明確にする

まず何より大切なのは、何のためにM&Aを行うのかという、自社の目的を明確にすることです。これは譲渡する側と譲渡される側、2社のマッチングにおいて特に重要となってきます。

譲渡される側であれば、例えば新しい拠点で事業を拡大することが目的である場合、いくら魅力的な資産を有していても、狙うエリアと全く別のところに拠点を構える企業は相手先候補にはなりません。逆にいえば現時点で業績不振であっても、狙うエリアで圧倒的なブランド力を持つ企業は理想的な相手となり得るのです。

M&Aを行う理由は各社様々で、譲渡する側であれば事業承継や不採算部門の切り離しなど、譲渡される側は事業の多角化やサプライチェーンの補強などです。その目的を明確にし、自社の指針に合った相手先候補を見極めることができれば、M&Aマッチングの成功率は格段に上がるはずです。

M&Aを熟知した専門家に相談する

M&Aの市場が活況である現在、専門知識やノウハウを持った会社による相談・仲介のサービスも多種多様となってきました。希望の条件でM&Aを成功させるためには、その中でも特に中小企業M&Aに実績がある業者を選ぶことをおすすめします。知名度のある業者であっても、自社と同じ規模のM&Aを手掛けたことがなければ、適した相手先候補を見つけることや、適正な条件での売買を仲介することも期待できません。

M&Aについて専門家や仲介業者に依頼する場合、まずどのような規模の企業で、どれだけの実績があるのかをチェックしましょう。また中小企業M&Aであれば、中小企業診断士などのアドバイスを受けることも有益です。相手先候補を見つけたり、交渉を進めるにあたって専門家のサポートは必須となるので、信頼できるサービスを見極めることが大切です。

事業を売却する企業側への影響を考慮する

買い手側の企業は、特に相手企業の関係者がM&Aによって受ける影響を見過ごさないようにしなくてはなりません。事業を譲渡する側の従業員たちは、今後自分たちの待遇や環境、業務などがどのように変化するのか大きな不安を抱えることになります。取引先も担当者や契約の条件が変わってしまった場合、取引中止もやむを得ないと考えるでしょう。

M&Aを進めるにあたって、こうした関係者に対するフォローを売り手企業に全て任せてしまうのではなく、統合の課題として共に考えることが重要です。せっかく交渉を成立させても、従業員や取引先の不満をそのままにしていると、やがてそれが大きなリスクとなってM&Aを破綻させてしまことにもなりかねないのです。

適正な売却価格を設定する

中小企業間では友好的な交渉が多いとはいえ、もちろんM&Aは莫大な金額をやり取りするものですから、取引で不利益を被ることが無いようにしなくてはなりません。

特に売却する側の企業は自社の適正な価格を知っておくことが重要です。目安としては時価純資産に数年分の営業利益をプラスしたものが売却の相場となります。ですが保有する技術が将来的に生み出す利益など、M&Aでは単純に現時点での数値では計れない金額の評価が重要となってきます。相手先候補を見つける前に、専門家に依頼して算出することが望ましいでしょう。

また買い手側の企業も、相手企業の規模・業種による価格の相場を知っておくことで、交渉を有利に進められます。さらにM&Aを検討するとき、あらかじめ自社の目的を達成するためにかけられるコストから逆算し、買収の予算を定めておくこともおすすめします。

中小企業のM&A成功事例

ここでは実際の中小企業によるM&Aの成功事例を2つご紹介します。注目するべきポイントは、どちらの例のおいても両社のM&Aの目的がはっきりとしていて、それを満たす相手先候補とマッチングすることができたという点です。

特に買い手企業にとっては、最大限のシナジーが期待できる相手を選定したことで、見事に目的を果たしています。また譲渡する側の企業も、例え経営に不安を抱えていても、自社が保有するスキルや人材を適切に評価してもらいM&Aが成功する可能性があるということが分かるでしょう。

VR・AR開発会社とシステム開発会社のM&A

まずは優れた技術と人材を保有しながらも、経営に不安を抱いてM&Aを行った企業の事例を見てみましょう。VR・ARの開発を手掛けていた売り手側企業は、新型コロナウイルスで影響を受け、自社の経営に見通しが立たなくなったために株式譲渡での会社売却を決断しました。

そしてシステム開発会社である買い手企業と無事マッチングし、両社はシステム開発における連携体制を構築したのです。買い手側企業の目的は地方への事業展開と、今後自社の事業を発展させるための優秀なエンジニア人材の確保でした。自社の目的に叶った売り手企業を見つけることで、買い手企業はM&Aの直後から期待どおりのシナジー効果を得ることができたのです。

警備会社と人材派遣会社のM&A

上記は買い手側が優秀な人材を獲得することを目的としたM&Aでしたが、反対に買い手企業が自社の人材の働く先を確保するためにM&Aを行う場合もあります。人材派遣業を営む会社では、登録してもらったもののスタッフに仕事を紹介できないことで悩む経営者も少なくありません。そこでとある人材派遣会社は、スタッフの働く場所を作るという目的で、警備会社を買収しました。

売り手側企業は常駐の施設警備を手掛ける会社で、経営者の高齢化によって事業承継問題を抱えていました。こちらも株式譲渡の手法をとることで、売り手側企業に今後の経営を任せ

ることができました。両社の目的が合致し、理想的なM&Aが叶ったのです。

余裕を持ってM&Aを進めるのが重要

余裕を持ってM&Aを進めるのが重要

今回はM&Aの中でも、特に中小企業が行うM&Aについて解説しました。M&Aという言葉を頻繁に耳にするようになって、つい最近興味を持ち始めたところという方も多いと思いますが、M&Aは何よりも余裕を持って進めることが大切です。相手先を選定し、じっくりと条件を擦り合わせて、統合後の計画を立てることには大変な時間がかかります。特に事業承継を考えていてタイムリミットを抱えているという経営者の方は、早めに動き始めることをおすすめします。

現在は様々なM&Aのサポートサービスもあるので、M&Aの目的と戦略さえ自社でしっかりと持っておけば、完璧な知識が無くとも専門家の手を借りながら進めていくことができるでしょう。

この記事を書いた人

DX支援メディア編集長
DX支援メディア編集長
大手の営業会社で1年以上働いた経験があるライターが、客観的な情報を踏まえた上で、BtoB営業に悩まれている方に寄り添ったコンテンツを発信していきます。

お役立ち資料

DOCUMENT DOWNLOAD

弊社の提供する営業DXツールと、オンラインセールス支援サービスにおけるノウハウをカンタンにまとめた資料データを無償配布しております。
是非、皆様の営業にお役立て下さい。

右矢印 View More
一覧に戻る

NEWS

採用情報