事業承継で受けられる融資の種類とは?融資を受ける際の注意点も解説

事業承継で受けられる融資の種類とは?融資を受ける際の注意点も解説

事業承継の状況によってはまとまった資金が必要になる

事業承継によって会社を受け継ぎたいけれど、資金面に不安を感じる人は少なくありません。事業を受け継ぐシチュエーションは親族内承継やM&Aなど様々ですが、多くの場合で受け継ぐ側は多額の資金を用意する必要に迫られます。

その経済的な負担が、今若い世代が中小企業の後継者となることを敬遠する大きな要因ともなっているのです。

手元に資金が無い場合は、何らかの融資を受けなくてはなりません。ですが事業承継に関しては、通常よりも好条件で融資を受けられる場合があるのです。

今回は事業承継を検討している人が知っておくべき融資の種類、また融資を受けるメリットや注意点について解説します。

事業承継で受けられる融資の種類

最初に事業承継のときにどのような融資が受けられるのかを確認しておきましょう。中小企業の事業承継で利用できる融資の種類は、公的機関からの融資と民間の金融機関からの融資の2種類です。

公的機関なら民間の金融機関よりも優遇された条件で融資が受けられます。また民間の場合は、通常厳しい審査を経て融資の判断が為されますが、事業承継では審査が比較的通りやすいというメリットがあります。

ここでは公的機関と民間、それぞれの融資について詳しく見ていきましょう。また融資を受ける際に大きなハードルとなる経営者の個人保証を不要とする、特別保証制度についても併せて解説します。

日本政策金融公庫の融資制度

事業承継で融資が必要になった場合、まず検討したいのが日本政策金融公庫の「事業承継・集約・活性化支援金」です。

日本政策金融公庫は国が100%出資している金融機関で、経済成長や地域活性化を目的としています。そのため中小企業の事業承継を支援するべく、民間の金融機関よりも良い条件で融資が受けられるのです。

金利は個々のケースに応じて設定されますが、上限3%と基準よりも低い利率が魅力です。返済期間も運転資金で7年以内、設備資金は20年以内で、さらに据置期間を設定してもらえることもあります。

ただし融資を受けるためには日本政策金融公庫の審査に通る必要があり、事業承継計画書などの書類を入念に準備しなくてはなりません。また担当者が視察に来たときなど、経営者自身が口頭でも受け答えができるように心構えをしておきましょう。

民間金融機関で受けられる融資

民間の金融機関でも事業承継のための特別なローンが用意されています。金利や返済期間については各銀行・信用金庫によって違いがありますが、いずれも通常の融資よりも審査が通りやすい傾向にあります。

具体的には担保や保証人が必要無かったり、5年・10年の据置期間が設けられているなどの優遇制度です。また事業承継に際して不動産を購入する場合は、20年以内の融資が受けられるなどの利点もあります。

各機関の詳細条件について知るためにも、まずは身近な金融機関の担当者に問い合わせてみましょう。現在は大手の都市銀行以外にも、地方銀行・信用金庫・信用組合などの様々な一般金融機関で事業承継ローンを取り扱っています。

信用保証協会の特別保証も利用できる

ここでは金融機関から融資を受けるときに役立つ、信用保証協会の特別保証制度についてご紹介します。通常の融資であれば多くの場合、返済の信用性を補完するために、金融機関からは経営者個人の保証が求められます。

ですが信用保証協会が事業承継支援のために設けている事業承継特別保証制度を利用すれば、経営者の個人保証不要で金融機関から融資を受けることができます。

保証限度は2億8千万円、対象は事業資金です。すでに前経営者が借り入れている分を受け継ぐ場合にも利用することができ、事業承継にかかる後継者側の負担を大きく減らすことができます。金融機関経由で申し込みができるので、まずは一度問い合わせてみましょう。

融資を受けて事業承継するメリット

融資を受けて事業承継するメリット

優遇条件があるといっても、やはり金融機関から新たに融資を受けることに抵抗がある方もいるかもしれません。しかし融資によって資金調達ができれば、大きなメリットが得られることも事実です。

ここでは事業承継で融資を受けるメリットについて解説します。自社の置かれた状況と照らし合わせて融資を受けることが、よりスムーズな事業承継に繋がるか検討してみてください。

手持ちの資金が少なくても事業承継できる 

事業を受け継ぐ側にとって、株式を買い取る資金の準備は大きなハードルとなります。現経営者の親族や従業員が受け継ぐ場合は、資金が用意できるまで事業承継を待ってもらうという選択肢もあるでしょう。

特にM&Aによる事業承継の場合、買い手側に手持ちの資金が無ければ、買収の絶好のタイミングを逃すことになってしまいます。

自社のさらなる発展のために、高いシナジー効果が得られそうな売り手企業を見つければ、融資を受けてでも資金を調達してM&Aを実行するべきでしょう。手持ちの資金が無いために良い案件を逃してしまったり、予算の問題で選択肢を狭めてしまうのは大きな損失になるのです。

持株比率の変動を抑えて資金を集められる

M&Aで事業を受け継ぐ場合、融資なら経営者が自社の持ち株比率を下げることなく資金を調達できるのもメリットです。融資以外の資金調達であれば、自社の株式を新たに発行して資本金を増やす増資が考えられます。

しかし増資は資金が得られると同時に、オーナー経営者にとっては大きなリスクを孕んでいます。会社の株式が増えれば、それだけ経営者の持ち株比率は下がることになります。株式会社において持ち株比率はすなわち会社への影響力です。

もし経営者の持株比率が50%を切ってしまうと、他の株主の同意無しには経営者としての地位を維持することすらできなくなるのです。

金融機関からの融資であれば、増資のように経営者の地位を危うくすることはありません。増資をする際の持ち株比率の変化予測を行い、少しでもリスクがあるようなら融資による資金調達を検討するべきでしょう。

事業承継のアドバイスを受けられる

金融機関から融資を受ける際には、担当者から事業を受け継ぐにあたってのアドバイスを受けられるかもしれません。銀行や信用金庫は企業に融資するという立場上、経営状況について客観的な分析ができます。

また現在では金融機関が事業承継そのものを支援するケースも多いので、より的確なアドバイスが期待できるでしょう。相続や贈与によって事業を受け継ぐ場合には、節税対策についても相談に乗ってもらえます。

何より中小企業の経営者は金融機関との信頼関係を大切にしなくてはなりません。中小企業の場合、金融機関の担当者は経営者の人格や信頼性で融資の判断を行うこともあります。事業承継について相談して意見を仰ぐことも、担当者との関係づくりに役立つでしょう。

費用を抑えて融資を受けることも可能

融資を受けるとなると、気になるのはやはり返済の費用でしょう。ですが金利の設定はそれぞれの会社の信用力によって変わり、財務状況や保有するスキル、ブランド力次第でより低金利で融資を受けることも可能です。

これらに自信があるならば、金融機関に相談に行くと思いがけず好条件で融資が受けられるかもしれません。

低金利で融資を受けるために、会社の財務状況を好転させておくなど融資の判断材料となりそうな部分を強化しておきましょう。また意外に重要なのが、経営者自身の人格と金融機関との信頼関係です。

いざ事業承継ローンを利用するときに好条件を引き出せるよう、日頃から取引のある金融機関とは良い関係を築いておきましょう。

事業承継で融資を受ける際の注意点

事業承継で融資を受ける際の注意点

ここまで事業承継ローンを利用するメリットについて見てきましたが、あくまで融資である以上注意するべき点もあります。返済の負担や、融資が実行されるまでにかかる時間についてはあらかじめよく理解し、それも踏まえて計画的に事業承継を進める必要があります。

また特に心構えをしておきたいのは、融資にあたって経営者の個人保証が求められるリスクです。

融資を検討する前に、3つの注意点について抑えておきましょう。ここではそれぞれのリスクや対処法について解説します。

個人保証を求められる可能性がある

中小企業の経営者であれば何よりも気になるのは、やはり融資の際の個人保証の問題でしょう。融資を受けるのは会社ですが、返済の信用性を補完するために経営者個人が連帯保証人となるケースは少なくありません。

場合によっては数億円単位の負債が経営者や家族にのしかかり、個人の預貯金や家などを処分して返済に充てることになります。

経営者保証の負担が大きすぎることが事業承継の阻害要因になっている問題については、長年議論されてきました。現在では「経営者保証に関するガイドライン」が策定されるなど、徐々に経営者の個人保証に依らない融資が促進されています。

まずは一度金融機関に相談してみましょう。また先述のとおり、信用保証協会の事業承継に関する特別保証制度を利用するという手段もあります。

融資を受けるための費用がかかる

融資された資金は、当然返済のための費用がかかります。融資額に一定の利率がかけられて利息が発生し、毎月の返済額が少なかったり返済期間が長引くほどにその負担は大きくなります。また先述の信用保証協会の制度を利用する場合には、信用保証料も発生します。

事業承継ローンを利用することには大きなメリットもありますが、まずは融資の額を極力抑えられるように努力しなくてはなりません。そして実際に融資を受ける前には、入念に返済のシミュレーションを行い、無理のない計画を立てることが大切です。

M&Aで事業承継を希望する会社を買収するときも、買収によるリターンが返済費用を上回るという確信を持ったうえで融資制度の利用を進めるようにしましょう。

融資を受けるまでに時間がかかる場合がある

金融機関からの融資には時間がかかるという点も留意しておかなくてはなりません。通常融資を受ける流れとしては、融資の相談の後に、金融機関から求められる書類を作成して申し込み、その後融資を判断するための審査となります。

この期間は短くても1か月、長ければ2か月程度です。もし事業承継に関わる各種支払いの期限が迫ってからローンを申し込めば、最悪の場合間に合わない可能性もあります。

まずは事業を受け継ぐ時期を定め、必要な支払いの期限から逆算して事業承継ローンの申し込みを行うようにしましょう。特に金融機関への相談は、事業承継を考え始めた早い段階で足を運んでおくことをおすすめします。

現実的な返済計画を立案してから融資を受けよう

現実的な返済計画を立案してから融資を受けよう

事業承継に関する融資は、通常の融資よりも条件面で優遇されているとはいえ、返済が必要なお金であることに違いはありません。まずは融資額を少なくしたり、事業承継計画を踏まえた綿密な返済スケジュールを組むなどの準備を怠らないようにしましょう。

現在では日本経済の活性化のため、中小企業の事業承継は国を挙げて後押しされています。中小企業庁からも経営者の方に向けて「事業承継における融資・保証制度」についての情報が発信されているので参考にしてみるのもいいでしょう。金融機関からの融資制度を賢く利用し、事業承継によってさらなる事業の発展を目指しましょう。

この記事を書いた人

DX支援メディア編集長
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