営業リスト作りに悩むセールスパーソンは多い
営業活動を進めるには、ただやみくもに架電・訪問をするのではなく、「営業リスト」に基づいて行動すると、効率的に動くことができます。しかし、営業リストの必要性がわかっていても、どのように準備すればよいのか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
有料営業リストを活用した方がよいのか、自作した方が営業目的に合ったリストを用意できるのではないか、と迷うこともあるでしょう。
有料営業リストと自作営業リストのメリット・デメリットと、自作する場合に成果を上げやすくなる作り方のコツをご紹介します。
「営業リストを作っておくように」と指示された場合、自分で書式を考えたり必要な項目を検討したりしていては時間ばかりかかってしまい、実際のリスト作成に取り掛かるのが遅くなってしまいます。まずは既存のテンプレートを活用し、実際に運用してから使いやすいようにカスタマイズしていった方が効率良く、また成果を上げやすい理想のリストに近づけていけるでしょう。
しかし、対象企業の情報を羅列していくだけのものは、単なるアタックリストであり、営業活動の基盤となる「営業リスト」とはいえません。テンプレートを選定する際には、営業リストに最低限必要な「対象企業の情報」の他に、「最新情報の記載」「接触履歴の記載」も備えたものを探しましょう。
営業リストを用意する際にはまず、「有料=コストをかける」のか「無料=時間をかける」のかの判断をしましょう。「リスト作りにコストをかけられないから無料で」と考える人もいるかもしれませんが、時間をかけるということは、その作業に担当する人の分だけ人件費がかかっていることになります。
また、リスト作りに時間をかけてしまうと、その分実際の営業活動に遅れが出て、ビジネスチャンスを逃すことにもつながりかねません。しかし、無料リストを一から作ることにもメリットはあります。それぞれのパターンでのメリット・デメリットを知り、自社製品やサービスにマッチするのはどちらなのかを判断することが大切です。
有料で提供される営業リストには、データ販売会社にターゲット層を伝えてリスト化してもらうケースと、情報収集ツールを利用し自身でデータを抽出するケースとがあります。
有料リストには、以下のようなメリットがあります。
・営業メンバ―がリスト作成に時間をかけることなく営業活動に集中できる
・重複がなく、閉鎖・移転などを追い切れずに相手にコンタクトできないなどのトラブルがない
・リソース不足となる心配がない
・ターゲット層の抽出方法を変えることで、ビジネスの幅を広げることができる など
有料リストのデメリットには、「コストがかかること」「ターゲット層がズレていたとしても軌道修正にもコストがかかること」「競合他社も同様のリストを使用していた場合、バッティングする恐れがある」などが挙げられます。
ビジネス系サイトなどに用意されているテンプレートを活用して営業リストを自作すれば、リスト自体は無料で準備することができます。テンプレートに合わせて、インターネットや会社四季報などから情報を収集し、リスト化していきます。
自作する営業リストには、以下のようなメリットがあります。
・製品に詳しいものがターゲットを選定するので、効果の上がりやすいリストとなる
・社内のフィードバックを得やすいので、リスト作業の軌道修正が容易
・ネット検索しながら、製品のアピール方法などの着想をしやすい
・データ会社との契約金や情報収集ツールの月額使用料などがかからない
しかし、営業リストの自作には、「人材リソースを検索作業に充てなければならない」「人件費がかかる」「想定以上に時間がかかった場合、営業活動のスタートが遅くなる」といったデメリットもあります。
テンプレートを活用して営業リストを自作する場合、「まずは作ってみる・動いてみる」という積極性が大切です。しかし、基となるテンプレートが期待するものと違っていては、すべての作業が無駄になってしまいます。
営業リスト運用後の使い勝手をイメージして、「操作性」「ツール連携」「セキュリティ」の3点について、しっかりチェックしてからリスト作成を始めましょう。
営業リストは、作成する人物が少人数であったとしても、運用後は営業セクション全体で利用するものです。ターゲット情報を深く調べて記載することも大切ですが、営業活動の際に欲しい情報がどこにあるのか、追記はどこにどのようにしたらよいのか、見渡しにくい構造のリストは避けた方がよいでしょう。
ITツールに詳しい人が作り込むあまり、営業リストの操作に別のマニュアルが必要となってしまっては効率的とはいえません。「営業リストを扱えるのは〇〇さんだけ」となってしまっては、継続して運用していくことも難しくなってしまいます。
「誰がみてもすぐわかる」「いつでも引き継げる」リストが良いリストだと考えて、複雑すぎないものを選びましょう。
営業リストは、営業支援システム(SFA)や顧客管理システム(CRM)として発展させ、営業セクション全体で活用していくことができます。営業担当者の行動を管理するためにスケジュールツールと連携させたり、商談予定をカレンダーと連動させたり、メールの内容を自動でリスト化したり、在庫管理システムと連携させたりと、自社の営業ツールや他部署との連携に役立てやすいかチェックしておきまましょう。
しかし、機能豊富になればなるほど、操作性が複雑になって入力の手間が増えたり、システムの横断に時間がかかって作業効率が下がってしまったりします。必要な情報や連携システムとのバランスを検討しながら、リストを作成していきましょう。
作成した営業リストはクラウド上に格納しておけば、複数人で管理するのに便利です。しかし、クラウドとはインターネット上の仮想空間であるため、悪意を持った第三者の不正アクセスやウイルス攻撃などのリスクがあります。
高度なセキュリティを求める場合には、社内に専用サーバを設置したり、オンプレミス型のサービスを利用したりといった対策が必要です。しかし、近年は強固なセキュリティ対策をとっているクラウドサービスも増えており、保守管理などの手間やコストを考えると、クラウド利用を選択しても問題ないでしょう。
また、利用者のITリテラシーを高めておかなければ、不用意な操作による情報流出の危険もあります。営業リストや顧客情報は企業の「資産」であるということを周知し、情報管理についても適宜教育・研修を実施しておくことが大切です。
オフィスワークに慣れた人は、「表組みならエクセル」「エクセルなら自分でデータ分析のグラフも作れる」など、営業リストの作成にもエクセルを選択するかもしれません。しかし、エクセルなどオフィス系のテンプレートには、マクロウイルスと呼ばれるマルウエアが仕込まれているケースがあり、ダウンロードする際には信頼できるサイトを利用するなど注意が必要です。
また、エクセルには共同編集機能がなく、「〇〇さんのPCに最新版が入っている」「担当者ごとにリストを分割したけれど、統合しようとしたら書式が崩れていた」など、営業セクション全体に使うには不向きな点があります。
Googleでは、エクセルと同等の使用感でリアルタイムの共同編集が可能な「スプレッドシート」というサービスを提供しています。Googleアカウントを持っていれば無料で利用でき、ネットワークを通じてどこからでもアクセスできるので、営業リスト作りにおすすめです。
営業リストの質は、その後の営業活動の成果が上がるかどうかに大きく影響します。「電話帳を写しただけ」「事業所近くの企業をリストアップしただけ」といった目的意識の薄いリストでは、空振り営業が増えることにより商談化率・成約率が低下し、営業担当者のモチベーションにも関わります。
良質な営業リストを作るコツを、「ターゲット」「企業情報」「情報鮮度」と3つの視点から紹介します。
営業リスト作成を具体的に進める前に、自社製品やサービスのターゲットとなる企業や一般消費者像を明確に定義しておきましょう。BtoB企業であれば業種や従業員規模、事業の課題、経営状況などの他、担当者のペルソナとして役職や業務上の課題、情報収集手段なども設定しておくと、効果的なアプローチが実施できます。
ペルソナの定義によりリスト化の際の取捨選択がスムーズになり、作業効率も上がるでしょう。また、営業セクション全体がペルソナを共有することで、統一感のある営業活動をとることができます。
ペルソナの設定をイメージだけで行うと、実際のターゲット像とズレが生じるリスクがあります。過去の取引相手の情報や担当者の実像などを反映し、実態に即したペルソナを設定するように心がけましょう。
営業リストは、営業活動の分母となるため、多ければ多いほどその後の販売数・契約数が多くなることが期待できます。大量の情報を効率的に集める方法を検討しましょう。
住所や業種といった基本情報はiタウンページやマピオン電話帳などから、注力している分野を知りたいならリクルート情報から、取扱商品を調べるならECサイトからなど、知りたい情報に合わせて利用するサイトを選定しましょう。
企業情報を深く知るにはそれぞれの公式サイトを検索するのも有効ですが、「営業リスト作り」のフェーズで企業研究をしていては、時間と手間がかかりすぎてしまう恐れもあります。一度インターネットから離れ、紙媒体の会社四季報や業界誌など、情報を見渡せるツールを利用するのもおすすめです。
営業リストの情報は、「集めて終わり」ではなく生きた情報として手を入れ続けることが望ましいでしょう。社名変更や担当者の異動に対応できていないリストでは、相手側にも失礼にあたり、ファーストコンタクトの印象が悪くなってしまいます。
営業活動で得た最新情報を適時フィードバックするのは当然として、リスト運用後も定期的にチェックする体制をとっておくことをおすすめします。また、決算月にはいち早く経営状況を整理して記載し、伸びている分野や課題のある分野を発見できれば、効果的な営業活動につながるでしょう。
営業リストを準備するには、コストをかけて有料サービスを利用するか、時間をかけて無料のテンプレートなどを活用するかという2択があります。大量のデータが必要な場合には、作業時間から人件費を考慮して、より成果が上がるリストを用意できる方法を選びましょう。
営業リストのテンプレートを提供しているサイトは多数ありますが、マクロウイルスなどのリスクがあるため、信頼できるサイトの利用をおすすめします。営業リストは、作成者・営業担当者・管理者それぞれの立場から、スムーズに運用できるものが望ましいでしょう。さまざまなテンプレートが配布されているので、複数のパターンをテスト的に利用してみて、使い勝手の良い形を探しだすことを目指しましょう。
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